サービスは「目に見えない」「利用してみないと分からない」という特徴があります。そのために不安や不満を感じることが多いのではないでしょうか?今回は「目に見えないサービスを見せる」ことに着目してみました。サービスを見せるとはどういうことなのか?どんな効果を発揮するのか?考えてみたいといます。
2.サービスを有形化して見せる
続いては目に見えないサービスを有形化できないかという視点です。例えば、ホテルでは以前から清掃完了の証としてメッセージ付きの「清掃カード」を枕元に置いています。これは、お客様の「清潔な部屋を利用したい」という共通的な事前期待に応えるための工夫です。目に見えない清掃サービスをカードという形にすることで安心してホテルを利用して頂くことができます。
また、店頭に行列ができた時に並べる椅子。これは行列ができている際には、座って待てる気の利いたサービスであると同時に、行列ができていない時でも「行列ができるほど人気なサービスです」ということを椅子がPRしてくれます。サービスを有形化するという意味では、行列ができない時間帯にこの椅子をしまってしまうよりむしろ出しっぱなしにしておいた方が、お客様が「このお店人気がありそうだからちょっと入ってみよう」という気になるのではないでしょうか?
このように、サービスを形にして見せるという工夫の余地はまだまだたくさんあると思います。
3.サービス風景を見せる・体験してもらう
これは、サービスを提供している様子を見せたり、実際に体験してもらうことで、サービスを受けたい気になって頂けるようにするものです。
例えばABCクッキングはあえて人通りの多いショッピングセンター内でガラス張りの教室の中で料理教室を開いています。楽しそうに料理を習う同年代の生徒さんの様子を周囲から見えるようにして、なんとなく始めの一歩を踏み出しにくい料理教室の敷居を低くすることで、若い女性の人気を集めています。
また例えば、保守メンテナンスサービスを提供する会社では、顧客先で作業をするスタッフのサービスレベルを高めて、その様子を見守るお客様に「魅せる」ことで安心感や満足感を高めてもらうという取り組みもされています。
他にも、大学のオープンキャンパスや結婚式場のウェディングフェアなど、利用してみないと分からないサービスの一部を疑似体験することで、サービスの魅力を実感して頂くということも効果的です。
実はこのようにサービスを垣間見ることができないことが原因で、お客様を逃してしまっているケースは意外と多いようです。例えばレストランやカフェでは、初めて利用する時には店内の様子を覗いて、雰囲気や混み具合を確認したいものですが、お店側は店内のお客様に配慮して、外から見えないような工夫がされていたりします。すると、せっかく良いクチコミを見てお客様がお店の前まで来てくれても、店内が見えなくて不安になって引き返してしまうなんてことはよくありますよね。
特に新規のお客様に利用して頂きたい場合は、店内やサービスの「覗きやすさ」への工夫も見直してみると良いかもしれませんね。
次のページ4.サービスの裏側をあえて見せる
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新