環境負荷の低減に関わる分野は、技術変化が激しくかつシステムとしてのソリューションが求められる。こうした分野では、買い手の立場に立ってトータルのコストパフォーマンスを鑑みて最適なシステム構成を提案できるシステムインテグレータへの期待の方が大きくなる。NTTファシリティーズの太陽光発電機器の性能実証施設設立の事例に、そうしたノウハウ蓄積を目指すシステムインテグレータの登場を見る。
NTTファシリティーズは、太陽光発電のシステムインテグレータとしての技術・知見取得を目的に、太陽光発電機器の性能実証施設を山梨県に設ける。この施設は、大きく分けて、1.モジュール評価、2.架台検証、3.設計技術検証の3つのエリアで構成されている。
モジュール評価エリアでは、国内外4ヵ国16種類の最新太陽電池を導入し、実際の環境下で長期的に運用評価することで、各太陽電池モジュールの発電、劣化特性などの特性を明らかにする。また、今後の技術進歩に合わせ、最新の太陽電池を逐次導入し、それらの実証評価を行っていくという。
架台検証エリアでは、自社開発した地盤沈下対策架台や手動式傾斜角可変架台などを設置評価する。地盤沈下対策架台は、地盤沈下に合わせて架台レベルの調整が可能なジャッキアップ機構により、設置困難な軟弱地盤への太陽光発電装置の設置を可能にする。手動式傾斜角可変架台は、季節別に傾斜角を手動で変更した場合の年間発電性能、運用性を評価、特性を把握することで大規模太陽光発電への展開を目指す。
設計技術検証エリアでは、太陽光発電システムの設計・運用に関する検証、評価を行う。設計については、太陽電池の結線方法や、太陽電池とそれが発電した直流の電気を電力系統へ流すために電力系統と同じ交流に変換するためのパワーコンディショナーとのマッチングによる発電特性への影響を評価し、最適なシステム設計技術の確立を目指す。また、運用について不具合の早期発見と復旧を実現するため、現場での不具合対応方法の検証や不具合発生時における発電特性を明らかにし、不具合対策に関するノウハウを蓄積する。
太陽光発電のみならず、環境負荷の低減に関わる分野は、まだ新しい技術、事業領域のため、技術変化が速い。技術革新もまだまだ求められている。たとえば、ひとつ太陽光発電をとってみても、この分野は地球温暖化対策の一つの技術領域として考えられていたが、より着目されるようになったのは、東日本大震災ならびに福島第一原子力発電所の事故により、災害対策の非常用電源としての活用も期待されるようになったこともある。
しかし、現在普及している太陽光発電は、費用対効果の問題もあり、産業用では特に、畜電ができず停電・災害時に使用できないシステム構成となっているのが一般的である。こうした満たされない需要に応えるためには、更なる技術革新と低コスト化の取組みが不可欠だ。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます