今夏は、節電が喫緊の課題だ。電気や石油がなくとも、先人は自然と共生し、その力を生かして心地よく生活したり、大きなエネルギーを得たりしてきた。今回は、障子のように、太陽光をムラの少ない形で部屋の奥まで拡散させ、室内全体を明るくすることで電気照明を使わずに済むようにするというブラインドをご紹介する。
筆者はオフィスの窓のブラインドを全開にして仕事をするのが大好きだ。外の景色が見えることもあるが、電気照明より太陽の自然の光の方が温かい感じがするからだ。
しかし、スタッフから「眩しくて仕事にならないからブラインドを閉めて下さい。」と言われる。個人的には「仕事には効率だけでなく、浪漫も必要。」と思うのだが、「浪漫では飯は食えません。浪漫は個人の場所で追い求めて下さい!」と言い返されると反論ができないので、その思いをぐっと噛み殺し、ブラインドを黙って閉めることになる。
それでも、私のように太陽の自然の光を感じながら仕事をしたいという人は多いのではないか。最近のオフィスビルでは、ガラスカーテンウォールで壁面が全面ガラスとなったものや、そこまでいかなくてもガラス面を大きくとったものが殆どだ。設計上の美しさだけでなく、そうしたものの方が入居希望者が多いからだろう。
しかし、いざ入居してみると、太陽の直射光では、窓に近い所では眩しすぎ、特にPCの画面などはまったく見えなくなってしまう一方で、窓から少し離れてしまうと太陽光だけでは暗すぎて、冒頭のようなやり取りを経た後、結局、朝から終日ブラインドで窓を塞ぎ、電気照明をつけて仕事をすることになる。
今夏は、節電が喫緊の課題だ。これまでコスト削減や省エネルギーという観点から節電を求められることはあったが、東日本大震災により東京、東北電力管内では、電力の供給力が絶対的に不足している。加えて、浜岡原子力発電所の停止により、中部電力管内でも電力の絶対的な供給力が不足することが懸念され始めると共に、中部電力の余剰電力を東京電力に融通するという選択肢がなくなったために、東京電力管内の電力不足がより深刻になることが予想される。
今回は、この節電に効果のあるあかりシステムのブラインド「アカリナ」をご紹介する。同製品は、従来のブラインド機能はそのままに、ブラインドに塗布した超微細な光学レンズを通して太陽光をムラの少ない形で部屋の奥まで拡散させ、室内全体を明るくすることで電気照明を使わずに済むようにするという
約20平米の部屋を用いた実験結果によると、アカリナで窓を覆い照明を消灯した時の明るさを、既存ブラインドを閉めて照明を点灯した時の明るさと比較すると、垂直面では窓から最も離れた地点で1.7倍ルクス、部屋全体の平均で3.4倍、床面では窓から最も離れた地点も部屋全体の平均も、アカリナで窓を覆い照明を消灯した時の方が若干明るくなっている。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます