企業の「地球に優しい」というふれ込みにだまされたと感じた時に、7割の消費者がその商品を買うのを止め、約4割の消費者がその企業のすべての商品をボイコットするという調査結果が最近示された。 米国の調査なので日本の消費者の反応と異なる部分があるかもしれないが、環境経営に携わる者にとっては気になる所なので、この調査の結果についてご紹介する。
この調査は"The 2011 Cone Green Gap Trend Tracker"。先月、広告代理店のConeがオンラインで実施、18歳以上の男性515人、女性525人の計1,040人から回答を得ている。上記の他にも、同調査の結果からは、商品の環境負荷低減についてのコミュニケーションのあり方について参考になる様々なデータが示されている。
回答者の8割が「製造・販売者は商品の環境負荷について、それらを踏まえて購買の意思決定ができるようそれらの情報をもっと多くパッケージに記載してほしい」と回答しており、消費者が購入しようとしている商品の環境負荷の情報を欲していることが明らかに伺える。しかし、「商品の環境に与える負荷がゼロという訳ではない」「実際は商品の環境負荷について全体像は良く分かっていないんだ」という企業が少なくないだろう。
それでも貴社は恐れることはない。75%の回答者は「企業は環境負荷低減において完璧である必要はない。それよりも自社の取り組みについて正直かつ透明性を保っていてもらいたい」と回答している。そう、環境負荷低減が完璧にできている必要はない。その商品における環境負荷低減の貴社の取り組みについて、誇張せずにできていることを正直かつ透明性を持ってお客様に伝えればよいだけだ。つまり、やろうと思ってもできないこともある物理的、技術的な問題ではなく、やろうとすれば誰にでもできる企業姿勢の問題だ。
とはいえ、消費者が企業の環境負荷低減について寛容という訳ではない。59%の回答者が「企業やそのマーケッターが『地球に優しい』『エコ』『グリーン』といったあいまいな表現を使うのが許されるのは、それを裏付ける詳細な情報や説明がある時だけだ。」と回答しており、別の23%は「そういったあいまいな表現は決して使うべきでない!」と答えている。つまり、
根拠のない「地球に優しい」「エコ」「グリーン」といったあいまいな表現は、2割程の消費者からは嫌われ、6割の消費者にはアピールしない
(そういった表現を許せるのは回答者の11%、残り8%は分からないと回答。)ということだ。また、半数の回答者が「環境関連のメッセージに圧倒されている」と答えており、消費者がプッシュでの情報提供にうんざりし始めていることが伺える。こうした時に、無意味に「エコ」「エコ」と連発するような無益な情報発信は、たとえ嘘がなくとも中身がなければノイズとして捉えられ、「うるさい」とマイナスのイメージで捉えられる。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます