消費者起点で"Buy East Japanese" Movementを

2011.04.07

経営・マネジメント

消費者起点で"Buy East Japanese" Movementを

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

寄付やボランティアなど東日本大震災の被災者支援の動きが続々と寄せられているが、いち早い被災者の方々の日常生活への復帰や被災地のを考えた時には、それだけでは足りない。一つの大きな壁が風評被害だ。この壁を崩すには、行政府や企業に期待するのではなく、消費者起点で、我々日本人が風評被害に晒されているものを買い支える"Buy East Japanese" Movementを展開する必要がある。

当然、そのための支援は行政、企業は行わなければならない。風評被害はつまるところ、正しい情報が広く行き渡っていないことにあるので、風評被害に晒されているモノについては、適正な検査を行った上で、残留放射線量の証明書を添付するなど、買い手が求める情報を積極的に提供していく必要がある。

国が都道府県単位で実施してきた農産物の出荷制限措置を見直し、地域単位での制限にするのも良い方向だ。更に求めるのであれば、単品単位での評価・制限にしていってもらいたい。放射線の拡散は、風や地形の影響を受け、行政区分とはまったく無関係だから、行政区分でサンプルを採ったり制限を掛けることで、統計学でいう第一種過誤(無実の人を有罪と判定するエラー)は避けられない。これを避けるためには、出荷単位当たりや全品の検査が必要になるが、こうした検査や証明書の発行といった情報発信にはコストが掛かる。そうした部分については、検査機関の整備や検査・証明書添付費用の補てんなど、行政でできることはある。

かなりベタだが、国会議員が福島、茨城、栃木県産品の出荷制限の対象でない野菜で作ったサラダを食べて安全性をアピールするというパフォーマンスもあった。うわべだけのパフォーマンスは頂けないが、政治家は国民のために文字通り体を張るのが仕事なので、真に被災地のことを思っての行動ならば、こうしたパフォーマンスも歓迎しては良いのではないか。

企業としても、風評被害に晒されているものを試しに取り扱ってはどうだろう。本当に、被災地の産品は売れないのだろうか?企業側の勝手な思い込みということはないだろうか?

震災以降、福島県の名産品を扱う東京都内のアンテナショップで買い物をする人が増えており、震災前の3倍以上になる日もある。震災前でも、今まで見た目等が悪くて売れないと思われていたワケあり品が、「資源を大にしたい」という新しい価値観からブームになり、完成品をバラしたり、傷をつけたりしてわざわざ「ワケあり」品として生産するメーカが出てくる程であったのは記憶に新しい。すべての人が風評被害に晒されているものを買い支えるとは思わないが、こうしたトレンドや被災地への寄付やボランティアの参加率などを見ていると、そうした機運、被災地の産品を積極的に買い支えたいというニーズ、マーケットは少なからず存在すると考えられる。こうした隠れたニーズは試してみなければ分からない。特売、催事というリスクが限定された形で構わないので、企業でもこうした取り組みをぜひ試してもらいたい。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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