「環境調達.comの2010年の記事を振り返り2011年を占う」記事投票にご協力頂いた方には御礼を申し上げます。ありがとうございました。 今号では、投票結果から、2011年の環境調達の方向性を展望する。
■ リアルな成果をイメージできる環境経営の情報が共感を得る
「紙のマニュアルを無くすことを考える」の投票理由が「自社でも同様の取り組みを予定しているので共感が持てる。」「自社にとってフィット感がある」、「カーボンフットプリントでサプライチェーンを固定化する愚にNoを!」の投票理由が「自社でも記事中で指摘された動きが活発に」という事に見られるように、リアルな成果をイメージできる記事が読者の方の支持を集めたようだ。
環境経営というと、温暖化ガス排出権市場であったり、スマートグリッドであったりといった環境インフラの話や、地球温暖化防止や生物多様性保全の国際会議の情報が多く取り上げられるが、これらの動向に直接関わり、影響力を行使できる人というのは相当限られている。
読者の方の反応を見ると、多くの方が単なる勉強のためというよりは、自分に或いは自社として、環境負荷の低減、環境経営の実現を目指し、それに必要な情報を求めていることが伺える。
環境調達.comは、マスメディアではないので、こうした情報ニーズにフォーカスし、サプライチェーンマネジメントの実務に携わる立場を生かして、実際の事業運営上で成果を出す事につながる環境経営関連情報の提供に努めていきたい。
■ 環境経営は一企業の問題から、製品・サービスのサプライチェーン、ライフサイクル全体といった一企業の枠組みを越えたレベルの取り組みに焦点がシフト
投票を集めた何れの記事も「紙カタログの電子化」「FSC認証」「カーボンフットプリント」と一企業の取り組みでは解決せず、サプライチェーンやライフサイクル全体で、事業目的の達成と環境負荷の低減を考慮した上で、それぞれのデザイン・取り組みを進めていかなければいけない課題だ。
この結果から、各企業の取り組みが進めば進むほど、一企業で解決できる簡単な問題から解決が図られ、これからの環境経営では、より解決が難しいサプライチェーン、ライフサイクル全体での環境経営の実現に環境経営の焦点がシフトしていることが伺える。
一方で「FSC認証」や「カーボンフットプリント」の記事中で述べた通り、商品・サービスのサプライチェーンやライフサイクル上で、すべての利用物質やアクティビティを捕捉しようというのは、現時点では現実的ではない。
よく「見えないものはマネジメントできない」と言われるが、「視える化」=「データ化」ではない。「視える化」の目的は、現状、変化の兆候を正しく視る事により、将来に向けた正しいアクションを起こす事である。優れた経営者は、データが不足していても、現場や事象のささやかな兆候を直観することで、正しいアクションを取るものである。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます