本田技研工業がグリーン購買ガイドラインを改定した。企業活動全領域におけるCO2を含む温室効果ガス排出量の管理をサプライヤに求めるといった優れているが取引先にはかなり厳しいものになりそうだ。 恐らく、ありこちでベストプラクティスとして「何れの企業も真似すべき」ものとして取り上げられていくことだろう。今回は、他企業にとってのこのホンダのグリーン購買ガイドラインの正しい位置づけについて見ていこう。
本田技研工業が同社の購買領域における環境保全活動の指針であるグリーン購買ガイドラインを改定した。
主な改定の内容は、
■方針
・これまでの環境に配慮した製品の購入の促進に加えて、取引先評価項目に「環境」を加える
■管理項目-企業活動
・これまでの製造時のCO2排出量管理から企業活動全領域におけるCO2を含む温室効果ガス排出量の管理に転換
■管理項目-製品
・これまでの化学物質管理に加え、商品燃費改善提案を加える
■対象
・これまで国内取引先のみを対象だったものを全世界の取引先に拡大
といったものである。確かに、この改定には他の企業も参考にすべきものが多い。
例えば、グリーン購買ガイドラインを単なるお題目とせず、実行のあるものにするには、環境負荷低減要件を調達品の仕様そのものか、具体的な項目を取引先選定基準に落とし込まなかえればならない。
環境負荷低減はサプライヤの製造ラインのみならず、サプライヤの先の原材料・部品の調達先から、調達物流、梱包、出荷物流、メンテナンス・廃棄等のトータルで考えなければならないし、トータルのサプライチェーンマネジメント、ライフサイクルマネジメントで考えた方が、点ではなく面での対応が可能になるので、改善の機会を得やすくなる。
環境経営は、化学物質管理のような法規制への後ろ向きの対応ではなく、商品・サービスの敬資源、敬エネルギー化を進め、お客様に提供している価値をより環境負荷の少ない形で届けるという環境対応の事業そのものへの統合が果たされなければなしえない。
グローバル調達が進めば、当然、対象となるサプライヤは国内のみならず、全世界の取引先にガイドラインを適用すべきだ。
ただ、幾らホンダの取り組みが素晴らしいものだからといって、あらゆる企業、材の調達・購買において同等のガイドラインを勧める、求める、目指すのはナンセンスだ。なぜなら、自動車産業はこうした取り組みを進めやすい事業特質、産業構造となっている、ある意味、特殊な業界だからだ。
我々のようなソリューション業に従事するものが特殊という時は、相当、特殊なケースと思って頂いた方が良い。我々ソリューション業に携わる者はできるだけ物事を抽象化・普遍化し、あらゆる機会を捉えて学ぼう、応用しようとする。そうしなければ、その業界、企業での業務に精通した方と対等に渉りあえないからだ。
そうした目で見ても、こと、調達・購買においては、自動車業界のそれは、他の業界、材に応用できる部分が限定的である。それは、製品開発、サプライチェーンマネジメントで目指すべきこと、前提条件が、他の業界と大きく異なっているからだ。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます