12月23日より3日間、東京の晴海にある晴海トリトンスクエアに、「氷を使わないスケートリンク」がお目見えする。
スケートリンクなのに氷を使わない、まったく信じられない話だが、本当の話だ。種明かしをすれば、リンクが樹脂でできているというもの。それにワックスを塗りすべりやすくしている。
靴は特別なものを用意する必要はなく、通常のアイススケート用のものを使用する。滑走性能は本物の氷とほぼ変わらない。本物の氷より少し柔らかく、転んでも痛くなく、また、服が濡れたり、寒さを心配する必要もない。この魔法のリンクには、そんな効果もある。
スケートリンクに氷ではなく樹脂を使うメリットは、実はそれだけではない。もっと大きなものがある。従来の氷を使うスケートリンクでは、製氷及びその維持に大量の電力や水が必要となる。あなたも聞いたことがあるかもしれないが、この維持費が問題となり、日本国内ではスケートリンクが激減している。特に、競技用のスケートリンクの減少が深刻で、最近は、日本人選手の活躍で、フィギュアスケートの人気が高まってはいるが、練習環境が整わないので、新規の選手登録は少ないとのこと。折角、スケートの人気が盛り上がってきた所なのにこの状況で、関係者は非常に頭を痛めているという。
晴海トリトンスクエアを運営する株式会社晴海コーポレーションのプレスリリースではこの樹脂製のスケートリンクがどこのものか明らかにされてはいないが、そうした樹脂製のスケートリンク用パネルを提供する会社にスペインのエクストラアイス社がある。
樹脂製スケートリンクの良い点は、地球環境への負荷低減のみならず、平坦なスペースにパネルを敷き専用ワックスを散布するだけで設置可能なため、面積や場所、季節を問わず、簡単にスケートリンクを作れることだ。水や電気を使用しないため、維持費も当然少なくて済む。たとえば、エクストラアイス社のものの場合で、氷製のスケートリンクに比べて、初期費用は3割減、維持費は半分ということだ。
「樹脂製スケートリンクなんてウチの商売と何の関係もない!」そんなことは言わないで欲しい。今回のケースで注目して欲しいのは着想だ。モノの価格、初期投資よりも、維持、定期点検、清掃、メンテナンスなどのライフサイクルにより多くのコスト、エネルギーや資源消費が発生しているという製品、設備は少なくない。
そうした時に、素材や設計を見直すことで、エネルギーや消費資源を少なくする、もしくは今回のケースのようにまったく使わなくすることができる機会はまだまだ数多く存在している。
次のページ技術は存在しているものの、それを必要とするような着想、...
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます