長野県北アルプスは白馬山麓にある何気ないホテルのサービスをご紹介します。 繁盛している隠れた理由がそこにはありました。
バイキングと同じように、全ての土産物に、ホテルのスタッフが書いたと思われる丁寧な商品説明が載った手書きメモが置かれています。
それと、全ての買い物かごの底に、電卓がなにげなく置かれています。
アウトドアライフを楽しみに来ている顧客がほとんどですので、フロントデスクの横には、本日の天気と週間予報が誰もが分かるように、大きく書かれた掲示板があり、予報の移り変わりと共に、刻々と書き換えられています。
パンフレットがとても洒落ていて、かつ便利です。
「白馬山麓ハンディガイド」というパンフレットにはホテル白馬の情報と、白馬村や大町と北アルプスの山々の詳細な地図が美しく掲載されておりました。
各種スポーツイベントの案内や推奨美術館、トレッキングコースなど、まさにここに滞在している客が必要とするであろう情報が見事に凝縮、網羅され、かつコンパクトにまとめられているので、このパンフレット一枚あれば滞在中ほぼ不自由を感じることなく楽しく旅行を
することができました。
まだまだ言い尽くせないほど細やかなサービスがたくさんあったのですが、ここで筆者がいいたいのは、どのサービスも顧客をあっと驚かすようなものではない、とてもささやかなものであるということです。
ただし、それらが集まって価値が集合体として高まることによって、顧客の満足度を向上させ、リピート客を得ているという点です。
「事前期待のマネジメント」という言葉をご存知ですか?
どの企業も「顧客満足の向上」をお題目にしています。
ただ、ではどれくらいの企業が真の顧客満足を理解し、それを着実に現場で実行しているかというと疑問です。
たいていの企業は、「お客様は誰か?」という定義を曖昧にしていたり、顧客の声に真摯に耳を傾けるということをおろそかにしており、掛け声倒れというのが多いのではないでしょうか?
「顧客満足の向上」を語る際に重要なことは、まず顧客の「事前期待」を適確に把握し、それを現場に反映することがとても肝要です。
「事前期待」をうまくマネジメントするのです。
このホテルの例では、旅行系のインターネットサイトでの口コミ情報が大変多く、その口コミ情報に対して、ひとつずつ丁寧に回答をしています。
恐らく、このホテルは、この口コミサイトからの情報なども含めて、
そこから適確に顧客の「事前期待」を把握し、それを出来ることからきちんと現場レベルに落として実行してきた結果が、先述のささやかに驚かせるサービスレベルの提供を実現しているのではないかと思います。
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