まずは中国に拘束されている高橋定氏の無事と早期解放を願う。 尖閣諸島沖での中国漁船船長逮捕を端とする中国政府の不当な振る舞いを受け、今回は、調達・購買を超えて、中国とどう向き合うべきかについて考える。
今回の騒動により、中国のカントリーリスクが明らかになった。民主党の枝野氏の発言ではないが、今後は不当は社員の拘束や財産の差し押さえがあったとしても、「そうしたリスクがあるのを知っていて進出したのでしょう。自己責任で解決して下さい。」と国を始め、誰も助けてくれない可能性がある。
ここは判断が分かれる所である。確かに、過去、総合商社は、政府や他の企業に先駆けて、リスクが高いと見られていたインドネシアやイラクに進出し、やがては大きな商権を確保するに至った。
誰もが足踏みするような国に他社に先駆けて進出し、時間を掛けて現地に溶け込んでいけば、事業の成功に不可欠な人脈や現地でのブランドを築きやすい。
ただ、中国で事業を継続、これから進出する企業については、何が起こっても誰も助けてくれない、すべて自社の力で解決しなければならないという覚悟を持って臨まなければならないことだけは確かだ。
考え方を少し変えてみてはどうだろう。今となっては、市場としての中国は存在していないものと考えてみる。世界は広い。中国市場が無くなったとしても、インド、中南米、ロシアなど、次の次と目されていた市場に少し前倒しで注力する。中東、アフリカなど、日本の他社があまり目を向けない市場に一足飛びに進出する。市場の大きさ、近さを考えると、なかなか中国市場をあきらめるのは難しく、ついついずるすると参入を続けてしまうかもしれないが、無いものと考えれば、すっぱりとあきらめ、大胆な次の一手が打てるかもしれない。
尚、これまでの中国への投資はサンクコストなので、それを中国市場撤退への意思決定に含めてはならない。これまでの投資は、これからの投資の少なさとして評価すべきである。その上で、他の市場へ進出する時のコスト、リスクとそれぞれのリターン、成功可能性を考慮して判断する。このように考えれば、これまでに中国で地盤を築いた企業、多くの投資を行ってきた企業でも、少しは冷静な判断がしやすくなるのではないか。
■ 今、政府批判を繰り広げる時か
今回の騒動の過程で、突然、中国人船長が検察の判断で釈放されたことにつき、政府に対して、野党、ジャーナリストだけでなく、民主党内からも批判の声が上がっている。
果たして、現在、こんな内輪もめをしている場合だろうか?
正に、こうした国内の浮ついた対応が中国政府を勢いづかせていることを、今このタイミングで声高に批判の声を上げているこれらの輩はなぜ気づかないのか。次のページ今は、日本が一枚岩であることを外向けに示すのが先決だ。
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週刊 戦略調達
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます