食品・日用品の値下がりが止まらない。 それを受けて、PB(プライベートブランド)導入による値下げから、PBそのもののコスト低減へと、PB商品を巡る議論が第二段階に移ってきている。 今回は、そうしたイオンの取組について紹介する。
日本経済新聞社が主要60品目の7月価格を調べたところ、そのうちの9割に近い52品目において前年同月比で価格が下がっており、10年4月と比べても5割超の32品目が値下がりしている。(出所:2010年8月24日 日本経済新聞 1面)
2008年秋のリーマン・ショック以降、小売の値下げが続き、メーカ、流通とも1年以上コスト削減活動を続けており、そろそろコスト削減から目を転じたいところかもしれないが、なかなかそうはいかないようである。
コストは自社の調達・購買活動で決まるが、価格はお客様が決めるもの。価格を下げなければ売れないのであれば、お客様がその品物に対して支払っても良いと考えている価格まで値下げをしていかなければいけない。
こうした流れを受け、スーパー大手のイオンは2010年度中に、食品や飲料などのプライベートブランド(PB)で約160品目を10~15%値下げする。イオンは2009年度に約2000品目を値下げしたが、今年に入ってメーカー品の値下がりが進み、PBの価格優位性を維持する(出所:2010年8月17日 日本経済新聞11面)ために、対抗して値下げを行うようだ。食品や飲料では、まだナショナルブランド(NB)の方がブランド力に勝るため、小売のPBは価格で対抗せざるを得ない。
NBと異なり、PBでは、よく小売の店頭での値下げの原資とされるメーカからの販売協賛金は期待できない。そのため、イオンは今回の値下げにあたり、
- これまでPBの製造委託先メーカに任せていた原材料や包装材の調達を、イオンが一括して行い委託先メーカに支給する方式に切り替え
- 支給方式を鶏、豚、牛肉、食用油などに広げるにあたり、容器や包装の素材や規格を標準化
- 生産委託先の工場集約
といったコスト低減の取組を行っている。
これらの取組の内容を見ていると、それは小売のものというより、メーカのコスト低減活動だ。これまでPBというと、広告宣伝費や販売促進費が不要、メーカとの直取引による中間マージンのカット、買取制によるメーカのリスク減少などによる低価格がメリットと言われてきた。
しかし今回のケースを見ると、それだけではNBに対して価格競争力を持てなくなっていることが伺える。これは悪い話ではない。もともとPBを販売するということは、メーカになるということ。商品企画・開発からかかる手間を考えると、メーカになることは大きなリスクを伴う。反面、リスクを取る分、PBでは商品企画から製造まで一気に小売の自由度が高まる。PBのメリットを最大限に引き出すには、この商品企画から製造における自由度を、PBを導入する小売は生かさなければならない。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます