カップヌードルごはん、ガリガリ君、オールフリーなどヒット商品の販売休止が相次いでいる。 これらの商品の製造、資材、物流などの需給担当者は、「折角の販売機会を逃したじゃないか!」と営業、経営陣から激しい突き上げをくらっているかもしれない。 果たして、売れすぎで販売休止による販売機会の損失は悪なのか?
日清食品は、カップヌードルごはん、カップヌードルごはん シーフードについて、予想を大きく上回って売れたため、販売の一時休止を発表した。
この夏は、これ以外にも、赤城乳業がアイスキャンディーのガリガリ君で、サントリー酒類がノンアルコールのビールテイスト飲料のオールフリーで販売休止を発表している。
それぞれのメーカにとっては、関係者を除けば、うれしい悲鳴であろう。一方で、これらの商品の製造、資材、物流などの需給担当者は、「折角の販売機会を逃したじゃないか!」と営業、経営陣から激しい突き上げをくらっているかもしれない。
果たして、これらの販売休止による販売機会の損失は悪なのか?
一概にはそうとは言えない。これらの販売休止の理由は、資材調達、製造、物流の手配ミスやトラブルということではなく、販売予測を大幅に上回る売れ行きによるものだ。
では、販売予測を見誤ったのはミスなのか?
どんなにIT、統計手法を活用しようと、100%の予測精度を保つことは不可能である。需要予測はあくまでも過去のトレンドの延長やパターンの適用に過ぎず、それらから外れる時には、必ず予測は外れてしまう。
販売予測、販売計画でできることは、持てる情報、技術を活用してのベストエフォートでの予測であって、計画生産方式を採っているところでは、それでも外れてしまった時には、ある意味、仕方がないと割り切ってしまった方が良い。そうでなければ、計画生産の意味がない。そうした需要の急激な変動に対応するために、在庫を持つのである。
日本では欠品を悪、欠品率を0%にすべきと考える経営者が多い。これが精神論ならばまだ許されるかもしれないが、資材調達、製造、物流というハードが関わる物理的な世界では、これは非常に過大な要求である。
例えば、米国の小売業界では欠品率10%程度が許容されているが、それであれば、最大で通常の振れ幅の1.65倍、需要が上振れすることを想定しておけば対応できる。欠品率5%であればバラツキの1.92倍、1%であれば2.58倍と欠品率の数字が大きくなるにつれ、想定しなければいけない数字が大きく膨らんでしまう。6σの水準で安全在庫を設定しても、10億分の2の確率で欠品は生じてしまう。本当に欠品を0%にしようと思ったら、無限大の在庫、生産、物流キャパシティを確保しなければならない。
製造設備、倉庫、トラックなどキャパシティの確保に関わるコストは、生産数量に直接比例する変動費というよりも、閾値を超えると階段式に一気に増加するタイプの費用もしくは固定費だ。外部委託を使うにしても、最低取扱数量の問題が絡み、完全な変動費とすることは難しい。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます