消費者の商品・サービスの探索行動の多くがインターネットに移るにつれ、ある所では半額になるなど、ビルの屋上などに設置する屋外広告の料金が下落が続いている。こうした技術革新は、新しい技術による機会だけでなく、旧来の枯れた技術にも機会をつくる。今回は、枯れた技術でコスト低減という機会を紹介する。
「ビルの屋上などに設置する屋外広告の料金が下落している。東京の新宿駅周辺の屋外広告料金の年間掲載料金は100平方メートルの看板で400~700万円、1年前に比べ100万円前後安い。
ある会社が北関東の新幹線駅前に置く広告看板の年間料金は、撤去を申し出たところ、看板主が大幅値下げを提示し、11月から従来の半額になる。(参考:2010年10月15日 日本経済新聞 30面)」
屋外広告が価格を半額にまで値下げしなければならないのは、景気低迷だけが理由ではない。消費者の商品・サービスの探索行動の多くがインターネットを起点としたものに変化しており、広告主が広告費を減らすだけでなく、広告媒体の選別を強め、屋外広告を減らし、インターネットへ予算をシフトさせていることも大きい。
新しいメディアを活用すると、それだけで話題になり、想像以上の大きなPR効果を得られることもある。最近ではツイッター、ユーストリームなどがそうした例だ。
こうした構造変化を受け、屋外広告市場は厳しい状況が続く見通しだが、もう屋外広告は使えないのだろうか?
少なくとも、このまま厳しい需要見通しが続けば、広告掲載料は下落する。広告主としては、望む価格をつけやすくなる。広告の価値は費用対効果で決まるから、インターネットに多くの消費者の関心を奪われても、それに見合った広告価格の引き下げが行われれば、屋外広告の価値は損なわれていない。市場が弱含みのため、消費者の動向以上に価格が引き下げられれば、反対に屋外広告の価値は高まっている。
すべての消費者が、商品・サービスの探索行動をインターネットにそっくり移した訳ではない。その土地と密接に関連したもの、商品・サービスの探すのにインターネットの利用が少ない世代や客層、衝動買いが期待できるもの、インターネットへの導線など、屋外広告には、インターネット広告にはない特性がある。
屋外広告の課題として、効果測定ができないことが上げられているが、ちょっと工夫をすれば、まったく効果測定ができない訳ではない。
新しいメディアにはリスクがある。それらの活用実績についての情報が少ないため、その効果や価値を正しく見極められず、広告主としては高い買い物になってしまうこともある。最近の例では、セカンドライフという仮想空間に多くの広告主が投資をしたが、その内、どれだけの企業が狙った効果を得ることができただろうか?
枯れた技術には、よくも悪くも、何ができて何ができないかが経験値で明らかになっており、伸びしろは少ないかもしれないが、その効果や価値を正しく算出しやすいという利点もある。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます