前回「価格」の決まり方に影響を与えるものの動きの一つとして、レベニューマネジメントについてご紹介した。今回は、もう一つの大きな動きとして、「価格情報のフリー(Free)化」をご紹介する。
■ 価格情報のフリー(Free)化
ここでいうフリーとは、クリス・アンダーソンの「フリー(原題 "Free: The Future of a Radical Price"」で指摘されていたデジタルコンテンツを中心に無料化が進む現象を指す。
価格情報のフリー化とは、価格・見積情報を無料で容易に取得できるようになっていること、それに伴い価格・見積取得業務の価値が一気に低下していることを言う。端的な例がGoogleショッピング。Googleショッピングは、Googleが提供している商品検索(ショッピングサーチ)サービス。Googleショッピングは、Googleが「Froogle」として2002年に英語圏のみで提供を開始、2007年に「Google Product Search」へと改称された。そのGoogle Product Searchの日本語版サービスがGoogleショッピングで、2010年10月28日に日本での提供が開始された。
ネット界の巨人Googleのサービスだけに、その動向・影響は無視できない。この煽りを真っ先に受けたのが、価格.comを運営するカカクコムだろう。カカクコムは、消費財の価格比較サイト「価格.com」を中心に、消費者向けの購買支援サービスを提供している。
カカクコムのサービスは買い手の消費者から見れば無料でサービスが受けられるが、実際には、情報を消費者に提供することで売り手企業のサイトへの誘導や商品・サービス販売につなげ、売り手企業から対価を受け取るれっきとした有料サービスだ。しかも、2009年度は売上130億円、経常利益55億円、純利益ベースでのROEが37%という超優良企業でもある。
そんな超優良企業のカカクコムでさえ、Googleショッピングによる価格情報のフリー化の影響は小さくなかった。11月26日現在、カカクコムの株価は41万9000円まで回復したものの、10月28日は株価の終値が前日比-55,000円(-12.64%)の38万円となり2007年12月頃の水準まで急落した。1ヶ月前の9月30日には年初来高値の49万9千円を付けており、そこからは25%近くの下げとなっており、それほどGoogleショッピングのサービス開始は衝撃的であるといえる。
Googleと価格.comの大きな違いは、Googleショッピングは価格情報が売り手企業が無料で登録可能という点である。Googleショッピングは、買い手にも課金していない。現在の所、GoogleはGoogleショッピングで儲けようとはしていない。あくまでも、自社の本業である広告リンクをGoogleショッピングに掲載し、そこから収益を上げようということである。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます