政治家を批判する際に使う「政治とカネ」という言葉は何を意味しているのでしょうか?もっともらしいことを言いつつ、実は中身がない、というコミュニケーションの例として挙げたいと思います。
小泉政権以来、「政治」は視聴率の取れる優良コンテンツとなりました。テレビやマスコミにとって、「視聴率=利益」です。金になるかならないかは、報道より重大なプライオリティを持っていると言えるでしょう。
小泉元首相は「郵政解散」と、ものすごくわかりやすいネーミングで解散を行ないました。参院での法案否決を理由に衆院を解散するという、それこそ訳の分からない理由で、です。しかし訳わからなくとも、ネーミングが良ければ客(=視聴者)は着いてきます。
「郵政改革に賛成ですか、反対ですか?」「白ですか、黒ですか?」という問いかけは、至ってシンプルです。この問いかけに、「(当時)自民党の郵政改革法案では抜け穴が多いので、その郵政改革法案法案には反対だが、郵政改革自体は賛成」なんてメンドクサイことを考える人は普通いません。みのもんたはテレビで全く同じことを言っていました。
「民主党が郵政改革に賛成のくせに小泉さんの郵政改革法案に反対するなんて意味がわかんない」と。
こうしたミスリードにより、正確に判断しようという行為はどんどんめんどうなことになって行きます。
同じことを日常していますよね。
血液型占いです。人間の性格をたった4つに分類する。あり得ないこじつけですが、日本では大人気です。もちろん科学的には完璧に間違いであり、何の根拠もありません。
なぜこのようなまじない・呪術が流行るのでしょう?
簡単だからです。人間の性格をこまごまと分類して行ったらそれこそ無限に広がってしまいます。しかしたった4つだけ覚えれば良いのなら簡単です。とえいあえずB型貶しときゃ話が持つ、みたいな、全く相手のことを理解せずともわかった気になれる、それが血液型が流行る理由です。
自ら考えることはめんどくさいのです。そのめんどうな部分をとりあえず補填してくれる、これは便利で都合の良いサービスにほかなりません。
みのもんたや小泉元首相が大人気を得たのはこうした「思考停止」を歓迎する視聴者が多いことによる、と私は考えます。
今、日本で最も嫌われている政治家・小沢元幹事長を批判するテレビインタビューで一番多い言葉は「政治とカネ」です。
私はインタビューに答えた人にお聞きしたい。「政治とカネ」の問題って何ですか?と。
政治資金規制法での記載の問題だ、と正確に答えられる人はいるのでしょうか。わかりやすく意味のない「政治とカネ」というネーミングのおかげで、一大疑獄事件かのようなイメージだけが出来上がりました。
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。