仕事にまじめに取組めば取組むほど「失敗」する数も増えます。「絶対に失敗しない」ことを目指すなら、「何もしない」のが一番。絶対失敗しない方法はそれしかないでしょう。しかし敗色濃厚な戦いでも、指揮官は必要なのです。
NHK朝の連ドラで、前作「ウェルかめ」が歴代最低の視聴率だったことで批判を浴びました。放映時間を移動させるという、テレビメディアにとって最大級の冒険をしてまで対処に当たったNHKは、エース級女優ということで、松下奈緒さんを主役にあて、原作も好評な水木しげるの奥さんの自伝小説という、これまた万全の展開によるスタートです。
しかし・・・・
第1回目の放送の視聴率は、最低だったウェルかめをしのぐ史上最低記録更新14.8%(関東地区)となってしまいました。ネットニュースはじめ、「NHK大失敗!」「史上最低記録更新!」と囃し立てられ、暗雲立ち込めるスタートです。
松下奈緒さん始め、製作スタッフの方々、さぞかし嫌な幕開けとなったのではないでしょうか。
麻雀はゲタを履くまでわからない、とおっしゃたのは阿佐田哲也先生でしたっけ?違うか。上州虎さんだったかな?ドサ健か(全部麻雀放浪記キャラ)
戦争も同じです。
戦争で一番難しいのは殿(しんがり)、つまり退却です。敵はかさにかかって攻撃し、味方は敗色濃厚から士気は低下。最も不利な条件下での戦いを余儀なくされます。
しかしまさにここが指揮官の腕の見せどころ。落ち込む部隊の士気をいかに維持し、戦いを継続させるかが求められます。
スタートレックのカーク船長は、クリンゴンやロミュランの攻撃を受けるとただちに「被害を報告せよ」とカトーやチェコフに命じます。(今日はマニア向け用語ばかりですいません)
まず状況を再度認識し、検証することで、対策が生まれます。指揮官自らが浮ついたり狼狽しても、軍、つまり組織崩壊は早まるだけです。指揮官の自律の姿勢は何より最大の素養と言えるでしょう。
そしてまた状況をある程度把握した上で、こうした環境下で完全なものなど取れるわけが無いことも理解し、後はカンで判断すること、判断できる決断力が欠かせないのです。「カン」には理論を超越する学習効果が含まれています。歴戦の勇士は時として大学出の将軍を上回る判断力を持つものです。
さて松下奈緒ちゃんです。いや、「ゲゲゲの女房」です。
実にしっかりとしたドラマになっていると私は思います。松下奈緒の不器用で背の高い(これがドラマのキーワード)未婚女性という設定と、戦後日本の光景は違和感無く、また水木しげる役の向井理さんも、イケメン俳優ギラギラという感じではなく、無理せず普通な雰囲気を出す演技が上手く、見合い相手が松下奈緒なら誰だって狂喜するよな的なツッコミを全く呼ぶことなくドラマに没入させます。父親役の大杉漣さんが、嫁に出す前にこっそり涙を流すシーンは感動しました。
「昔の」大河ドラマ大好きな私から見て、十分惹きつけられる力を持つ、よく出来たドラマだと思います。
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。