夏目漱石も影響を受けているというアメリカの哲学者・ウィリアム・ジェームズは、『賢明になるコツは、何を大目に見るかを知ることである』という格言を遺している。この言葉を、いまの日本のマスコミに肝に銘じて貰いたい。
先月、こんな事件が報道されたのをご存じだろうか。
「県立土浦一高の男子生徒が女風呂を 群馬県内で宿泊学習中」
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20100820ddlk08040127000c.html
報道された内容は、タイトルにある通り・・・
県立土浦一高が7月に宿泊学習を行った時に、1年の男子生徒22人が宿泊先のホテルの女風呂を覗いて、携帯電話で盗撮しちゃった。それを誰かがチクってばれて、学校側は盗撮動画を確認。個人が特定できるほどはっきりした映像ではなくネットなどへの流出もないことも調べた上で、女子生徒と保護者向けに説明会を開き謝罪。県教委に報告し盗撮に野球部員が加わっていた為、地区大会への出場を辞退したというもの。
のぞきも確かに悪い。盗撮なんてもってのほかだ。あまりにも軽率である。インターネットの時代である。盗撮した画像をネットにばらまけば大問題にも発展するところである。
しかし、今回の次元で被告みたいになってしまった1年の男子生徒22人に、そこまでの悪意があったのだろうか・・・。
一昔前なら、「女風呂を覗く」というのは、青春漫画やドラマでは定番のシーンである。このシーンの落ちは、きゃっーって叫ばれて、お湯をかけられて・・・はいおしまいである。
時代は、変わった・・・。道徳の基準も変わった。目に焼き付けるだけにしておけばいいものを・・・ケータイで盗ってしまう。確かに、罪である。見つかったのだもの、女の子達には、誠心誠意謝らなくてはいけない。その関係性の中では、制裁も覚悟する必要がある。
しかし、このニュースって・・・新聞に載せるような事件なのだろうか。マスコミに載るほどの社会的制裁を、この男子生徒22人は、受けるべきなのか。
なぜ、マスコミは、これを『若気の至り』で許せないのか。大目に見られないのか。
もっと大事なことを報道して欲しいと心から思う。
悪いことは悪いことである。
しかし、
多くの小さな罪は、そもそも悪いから犯したのではなく、「弱いから」犯したものである。だから、大目に見るという社会システムが重要なのだ。
その「善悪」の判断基準を育てるのがマスコミの本来の仕事だろう。
今回の民主党の代表選の報道を見ていても、、、マスコミのスタンスには、つくづく呆れる。小沢一郎が総理になれば、記者会見がオープン化される危険はあるは、 新聞とテレビの資本分離を進められるはで、、、マスコミにとって良いことはひとつもない。だから「小沢さんが首相になったらどうしますか?」なんて、偏向したインタビュー映像を流す始末である。
利権にしがみついた大人達の事情を、利権を守りたいマスコミが大目に見る。一方で、どうでもいいような『若気の至り』は許さずにニュースにする。そんな日本を、若者達が魅力的だと自賛するわけがない。
アメリカの哲学者・ウィリアム・ジェームズの『賢明になるコツは、何を大目に見るかを知ることである』を格言になぞって言うなら・・・マスコミは、悪者をあら探しする場所ではない。「大目に見る」=「賢明な視聴者」を育てる場であるはずである。
メディアや広告業界への苦言・提言
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。