売れすぎによる欠品で販売機会損失は悪?

2010.08.24

経営・マネジメント

売れすぎによる欠品で販売機会損失は悪?

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

カップヌードルごはん、ガリガリ君、オールフリーなどヒット商品の販売休止が相次いでいる。 これらの商品の製造、資材、物流などの需給担当者は、「折角の販売機会を逃したじゃないか!」と営業、経営陣から激しい突き上げをくらっているかもしれない。 果たして、売れすぎで販売休止による販売機会の損失は悪なのか?

需要が堅調ならば良いが、季節的なもの、一時的なブームであったりした時に、この最大需要に合わせてサプライチェーンを用意しては、需要が落ち着いた時に、すぐに過剰設備で身動きが取れなくなってしまう。

一方で、需要に見合ったサプライチェーンを整えずに、在庫の横持ちや外部への緊急発注などオペレーションで無理に需要に応えようとすると、それだけ、ムダな拠点間物流が発生したり、高値での発注にならざるを得ず、忙しく頑張った割には儲からない、下手をすれば、売れば売るほど赤字になってしまうということもある。部品などの取引では、欠品を防ぐために通常は船便で運んでいるものを、数倍、十数倍のコストを掛けて、航空便で取り寄せるということもよくあることだ。

時には、信頼の維持、確保のために赤字であっても、欠品を防がなければならないということもある。しかし、それが常態化してしまっては、ビジネスとして成立していないと言わざるを得ない。

そういった意味では、今回の3社の決断は、何れも苦渋のものであったであろうが、適切なものであったと言える。大切なのは、「お前のせいで売れ逃したじゃないか」という責任追及、責任のなすりつけ合いではなく、欠品の原因が需要予測、サプライチェーンのキャパシティ、一過性のブーム、リードタイムの長さ、安全在庫の設定など、何れの問題か、それに対応すべきか否かを見極めることである。

ブログやツイッターなどインターネットを通じて飛躍的に口コミの広がりのスピードが上がると共にリーチが広がっており、需要の振幅が、今までからは予想がつかない程、短期間に大きく振れるようになっている。貴社でも、貴社のビジネスモデル、顧客ターゲットに即した現実的な欠品率を設定し、それに合わせたサプライチェーンを構築することが、操業コストを最小化する鍵である。

中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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