横浜開港150周年記念イベント開国博Y150や、16年夏季東京五輪招致を巡って、契約後の非合理な減額請求が堂々と為されています。 一体、どうしてしまったのでしょう? こうした非合理な減額請求が、ベストプラクティスとして広まることが無いよう、その問題点を明らかにすると共に、私たちがこうした状況に陥らないようにする方法についてご紹介します。
つまり、今回の騒動は、予め予見し手を打つことができたことを放置した結果にすぎません。弊社のような数人しかいない規模のベンチャー企業でもそこまで考えて取引を行なうのに、規模・スタッフ的にも充実している横浜市や東京都が、そうしたリスクを考慮せず、後で、それを取引先に押しつけようとするというのは、怠慢としかいいようがありません。
□ 買い叩き、トラブル処理ではなくリスクマネジメントがプロの仕事
今回の騒動の背景には、買い手側の各事業主体に、BtoB取引、調達・購買の仕事に対する甘い見方があったのではと感じられます。
BtoB取引では、BtoCと異なり、目の前にあるものを単純に安く買えばよい、取引先を買い叩けばよい、トラブルが起きれば、後で取引先に文句をつければよいというものではありません。
その時に必要とされているモノ・サービス・役務などを取得すると共に、そこで生じるリスクを想定し、予め手を打っておくリスクマネジメントが求められます。
消費者保護法や下請法に象徴されるように、BtoBの取引は、下請法を除けば、当事者同士で解決すべきというのが原則で、また、それだけの能力を事業主体は持つとみなされています。確かに、法律で規制するよりも、当事者間で解決した方が効率的です。
石原都知事は、電通への映像を制作費の値下げに際し、「都民も私も納得できない」と発言し、都民を味方につけようとしたようです。これは、電通との契約前の議会なりでの発言ならば理解できますが、契約後では、「私は、頂いた税金をまともに使う能力がありません。」と述べており、事業体としての責任を放棄しているのと同じです。事業体としての調達・購買を、個人の買い物感覚で考えるのは誤りです。
「電通との契約は担当者に任せていた。」と反論されるかもしれませんが、それは、反面、不適正な税金の使途をチェックする仕組みが無いことの証明になりますので、結局は、行政の長たる知事の責任となります。
企業、行政を問わず、これらのケースを他山の石として、不当な減額請求を「なるほど、こうした強いリーダーシップを示すことが必要か!」と誤った解釈をするのではなく、恥ずべきケースとして、自身の支出管理、調達・購買機能のマネジメントに活用して頂ければと存じます。
※本稿は、弊社が発行しているメルマガ「週刊 戦略調達」の記事を編集・加工したものです。「週刊 戦略調達」は、調達・購買業務とそのマネジメント、コスト削減・経費削減のヒントを提供すべく、調達・購買業務のマネジメント、戦略調達のプロフェッショナルが、最新のトピックスから、調達・購買業務におけるトレンド、業務への影響を解説したものです。最近の記事のバックナンバーの閲覧やご購読は、http://samuraisourcing.com/knowledge/weekly/ にて行えます。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
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