アイスランドの火山噴火に伴う欧州の飛行制限で、サプライ(供給)リスクのマネジメントに問題があったケースが明らかにされています。 今回は、これらのケースで何が問題であったか、どうすればそれが避けられたかを見ていきます。
アイスランドの火山噴火に伴う欧州の飛行制限で、サプライ(供給)リスクのマネジメントに問題があったケースが明らかにされています。
たとえば、半導体向け感光性樹脂やパソコンの欧州向け輸出や、放射性医薬品原料、生花、緊急手配中のセンサー部品などの欧州からの輸入が滞り、半導体では、現地での生産に影響が出かねない状況が懸念され、日産自動車は、追浜工場と九州工場の計3ラインでの操業停止、以降の対応が未定であることを明らかにしました。(出所:日本経済新聞 web刊 2010/4/19、2010/4/21 9面)
「今回のような大規模な自然災害は想定外で、仕方のないこと」
果たして、そうでしょうか?
たしかに、火山噴火による火山灰の影響で、これだけ大規模に空港が閉鎖されるということをピンポイントで想定することは難しいかもしれません。ただ、ストライキやラインの事故、工場火災などで、調達品が届かないということはよくあります。
通常は、安全在庫や代替物流手段により、供給停止リスクに備えるものですが、今回のケースのような保存が利かず空輸せざるを得ないものでは、そうした手段が取れません。それでも、まったく手がないかと言うと、代替ソースや、製造拠点の分散などによる複数の市場へのアクセルルートの確保といった方法が考えられます。日比谷花壇は、欧州からのバラが届かなかったため、国産やケニア産に切替え、対応しています。
こうして見ると、サプライヤにとっては今回の件は自然災害かもしれませんが、それに伴う供給停止で影響を受けた買い手企業の問題は、自然災害によるものか、サプライリスクのマネジメントができていないという自社の責任によるものか判断が分かれるところです。競合他社がこの事態に対応できていれば、お客様から見れば、今回の件は、「それは貴社の責任でしょう。」ということになります。こうした時には、お客様からは納期遅れのペナルティを課せられるものの、サプライヤに対しては、通常の売買契約では自然災害を起因とする損害は免責となる条項が設けれられていることが多く、貴社は損害を転嫁できず、すべてを被らなければいけないという最悪の事態に陥ることにもなりかねません。
こうした時でも、他に代替の調達ルートがないことを予め理解していれば、サプライヤの止むを得ない供給停止については、貴社の責としないことをお客様と握っておいたりすることで、最悪の事態を回避することができます。
次のページ要は、通常はあり得ないだろうと思えるようなトラブルを想定する
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます