2009.10.07
オリンピック落選の「黒幕」を撃て!シンタローの影にいるのは?
木田 知廣
シンメトリー・ジャパン株式会社 代表
オリンピック開催地の落選を機に、石原都知事を糾弾する声は日増しに高くなるばかり。だが、真に責任を問うべき「黒幕」は別にいる。まるで他人事のような顔をして、「知らん顔」を決め込んでいるその正体は…
誘致の失敗、それも、早期での落選という結果に対して石原氏の責任問題が浮上してくるのは、やむを得ないところでしょう。
たしかに、石原氏主導で誘致の意思決定がされて、100億とも150億とも言われる活動費を使った挙げ句、すべてがパァでは納得いきませんよね。「そもそも、誘致する必要ってあったの?」と根元的な疑問が提起されるのも当たり前です。
でも、ちょっと待って。
根元的な疑問と言えば、「そもそも、誰が石原氏を知事にしたの?」こそ問われるべきではないですか?
石原氏のこれまでの経歴を見れば、このような「スタンド・プレー」に走るのは想定の範囲内。ましてや、任期も三期目ともなれば、「シンタロー銀行」とまで揶揄された新銀行東京の乱脈経営や築地市場の移転をめぐる迷走などはご存じの通り。今回のオリンピック誘致が、「テメェ勝手に立候補して、税金を使った挙げ句に、落選したら『政治力』の問題にする」なんて結末は、火を見るよりも明らかでしょう。
したがって、本来責任を問われるべきは、石原氏を都知事に選んでしまった都民。2007年の都知事選で石原氏に投票した人に聞いてみたいですよね。「ねぇ?どう思ってるの?」と。
返ってくる答えは、「何かやってくれると思った」、「今の日本を変えるパワーがあるのは石原さんだけ」、など、まあ、分からなくはないのですが…中には、「だって、裕次郎のお兄さんだから、応援したい」なんてのもあったりしてガックリ…
●「偏向」している政治力の源泉
と言うウラを読むのが、政治力を発揮する上では大切です。だって、このようなコメントこそ、石原都知事の政治力の源泉を表しているのですから。
当サイトでも何回かコラムに書きましたが、いかにして政治力の源泉を構築するかは、「情報のアービトラージ」、「リソース配分をコントロールする」などいろいろあり、下図のようなフレームワークでまとめることができます。
が、石原都知事は、おそらくはこの中で「同意見のグループを形成する」に過度に傾斜したスタイルをとっていると想像されます。つまりは、国民的スター、石原裕次郎氏の兄であり、芥川賞受賞のベストセラー作家であり、タカ派的な発言でマスメディアにネタを提供するというスタイルです。
これをテコに、大衆の興味を惹きつけ政治力の源泉にしていたからこそ、都知事で連続三期当選という成果を上げたわけですが、逆に言うならば、「同意見のグループを形成する」以外の政治力の源泉は、あまり使っていないのでしょう。
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