BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。
「助けてあげたい・・・」
「自分の家族の無事は確認しているから、自分は幸せだな・・・」
と思いながらも、そもそも震源はどこで、ここより被害の酷いところはないのだろうかと気になり始めました。
本社倉庫は?近くの営業所は?実家は?
頭の中で不安が錯綜していきます。
「でも、今考えても、電話も繋がらないから仕方ない。まずは会社に向かおう」そんな葛藤を繰り返しながら会社に到着しました。
会社が入っているビル自体は傾いておらず、外側の窓ガラスの半数弱が割れて散乱している状況。
ビルに近づきたいけれども、ガラスが降ってきたら危険なので、隠れそうな板を探していると、向かいのカフェの立て看板を見つけたので、それを頭上に掲げ楯のようにしてビルの中に入りました。
自動ドアも全て割れていて、普通に建物に入れたどころか、会社のICカードリーダーも停電によって機能しておらず「常時施錠」となっていました。
「停電になると、鍵が開かなくなる仕組みだったんだ・・・」とちょっと安堵しながら、会社から支給されている裏口の鍵を開けて社内に入りました。
社内に入ると、その光景は怪獣に壊されたビルのワンシーンを思い起こさせる散乱具合です。
キャビネットは倒れ、パソコンは床に落ち、書類は散乱しています。
「漏電で火災にならなくてよかったな・・・」「・・・???」
部屋の奥からうめき声がします。 営業担当のBさんが机とキャビネットの間で苦しんでいます。
「どうしたんだ?」
「・・・。た、助かりました。残業をしていて、そのまま眠ってしまって・・・。地震だと思ったらこの書類が入ったキャビネットが倒れてきて挟まれたんです。」
そうだ!本社から耐震措置の通達の際に、費用が見合わないからといって、キャビネットの壁への固定を見送ったんだった・・・。言えないよな。ごめん・・・Bさん。
「今すぐ救急車を呼ぶから!」
「いや、無理っすよ。Aさん。今朝から携帯繋がらないんで」
「固定電話ならいけるだろう」
「うち、IP電話に変えたじゃないですか。大丈夫なんですか?」
「・・・。」
あっ! 「FAX回線だけ、アナログ回線を残しているから、いけるかも」
「電話機に乾電池を入れれば通話できるはずだから、電池を探してくる。ちょっと待ってて。」
「Aさ~ん。一先ず、このキャビネットどけてもらえますか?」
その時に、最近受けた救急救命の講習会の講師の言葉がよぎった。
「身体の四肢を圧迫されている被災者がいる場合、身体の反応で一時的にカリウムの濃度が増えている場合があります。急に圧迫を解くと、そのカリウムによって亡くなることがありますので、まずは消防署へ連絡して下さい。」
ありがたい説明だったけど、どうやって消防署へ連絡って・・・
「すいませ~ん。誰かいますか~」
これは営業アシスタントのCさんの声だ! 生きていたんだ。よかった。
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