「お茶屋」は、 基本的になじみ客の紹介がないと利用することができません。 いわゆる「一見さんお断り」です。 ですから、紙に書かれた会員規約や会費はありませんが、 お茶屋のビジネスは実質的には、 「会員制のビジネス」 だと言えます。
これまでのつきあいを通じて把握したお客さんの
「好み」
を踏まえて、そのお客さんに満足してもらうために、
どんなサービスを提供するのが最適か、頭を絞るのです。
そして、お母さんの裁量で、お座敷をしつらえ、
料理を手配し、芸舞妓さんたちを呼びます。
したがって、好みがわからない、
まったくのフリの客を受け入れることは難しい
というわけです。
これは、究極の「CRMの実践」と言えますよね。
3 職住一体の女所帯
お客さんが上がるお座敷は「お茶屋」の中にあります。
お茶屋は、お母さんやそこで働く女性たちの「職場」
であると同時に、「生活の場」でもあります。
つまり、お客さんを個人宅に呼ぶのと実質同じ。
したがって、素性のはっきりしないお客さんは
そもそも怖くて呼べないんですね。
“お酒がすぎて、お座敷で暴れはったり、
お座敷に根がはえてしもうたみたいにずーっと
お帰りにならへんと、困るんどす”
と話すお母さんがいたそうです。
お茶屋の利用者は、
やはり社会的地位の高い方が多いわけですが、
「一見さんお断り」のお茶屋は安全で、かつ安心して
過ごせる数少ない場所。
お茶屋が、昔から「密談の場所」となってきたのは
「一見さんお断り」だったからなんですね。
→夕学五十講 西尾久美子氏講演(08/06/16)受講生レポート
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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。