舞妓を目指す女性は、 多くは中学卒業後に「置屋」に住み込み、 約1年間にわたる集中的なトレーニングを受けます。 「置屋」とは、タレント事務所のような存在です。 経営者は基本女性です。「お母さん」と呼ばれます。 つまり、舞妓さんとは擬似的な親子関係を結ぶわけです。
置屋のお母さんは、
舞妓見習いの女性と生活を共にしながら、
舞妓に求められる立ち振る舞いや言葉遣いなどを
徹底的に仕込みます。
前述したように、
舞妓志望者は全国からやってきます。
もちろん、京言葉は話せませんし、
和服を着たこともない女性もいるそうです。
なんと、「ふすま」と「障子」の区別のつかない女性も!
要するにごく普通の若い女性なんです。
基本的な礼儀作法でさえあまり期待できない。
だからこそ、住み込んでもらって、
それこそ箸の上げ下ろしに至るまで、
細かく指導することが必要なのだそうです。
置屋のお母さんは、
舞妓さんの生活に関連した費用だけでなく、
着物代も全額払います。
着物は季節によって変える必要があり、
1人あたり何着も用意しなければなりません。
へたに安いものを着せると、
目利きの客にはお座敷に呼ばれないこともあり、
それなりのものを買わなければならない。
そもそも、着物はオーダーメイドの特注品ですし、
1年分の衣装一式は数千万円に上るそうです。
しかも、舞妓さんの着物は仕事着です。
料理を運んだり接客している時に汚したり、
破いたりすることもある。修繕代もばかにならない。
ですから、置屋にとって、
舞妓さんの衣装代は相当な負担なのです。
さて、舞妓になるための置屋での濃密な日々は、
それまでごく普通の生活を送ってきた女性にとって
相当異質な環境です。
このため約1年間の修行を無事乗り越えて、
デビューに至るのは、当初の志望者の2-3割
なのだそうです。
また、前述したように置屋は、
デビューまでに舞妓さんに対して相当な投資を
してきています。
したがって、デビュー後は最低3年は
働いてもらわないと投資分が回収できないのだそうです。
ですから、デビュー後すぐに辞められてしまったら、
投資が回収できず、置屋には赤字が残るということに
なります。
以上のことを知ると、置屋は、
有望な新人タレントを発掘して、
ボーカルやダンスレッスンを受けさせ、
売り出しのための広告宣伝などに投資する
「タレント事務所」と、確かにほぼ同じ仕組みで
運営されていることがわかりますね。
ところで、置屋のお母さん以外に、
舞妓さんの育成に重要な役割を果たすのが、
先輩の芸舞妓さんたちです。
自分よりも先にこの世界に入った
先輩の芸舞妓さんはすべて「お姉さん」と呼びます。
つまり、明確な年功による序列関係があります。
芸舞妓さんの集団写真でも、誰が一番先輩で、
二番目、三番目が誰か、新人はどの舞妓さんか
ということがすぐにわかるほどです。
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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。