消費者行動をON、OFF、ニュートラルという3つの状態と複数の消費者間におけるそれらの状態の相互作用について引き続き考えてみたい。
今回も、売れ残った「ピンキーマウス」のTシャツを在庫処分する消費者心理について考えてみたい。
ヒットを見込んで仕入れたキャラクター商品である。担当者としては、「かわいいでしょ?」、「ファンキーだろ?」、「いけてるよね?」と言って消費者の購買を促したいと思うかも知れない。しかし、「何で買わないんだよ!」、「お客さん、センスないね!!」、「見る目ないな~っ!!!」と消費者を攻めるわけにもいかない。結果として、見る目がなかのは本人である。
ピンキーマウス誕生の歴史や、ピンキーマウスの家族構成や性格、作者の人生観や哲学を語っても、受け入れられないものは受け入れられない。
市場の流れやタイミング、消費者の直感的な感性の影響も大きいであろう。理屈を解説しても、売れないものは、売れない。
このような売れない商品を無理に売ろうとする担当者の心理は「自分が選んだものだから、是非買って欲しい」というON・ON型、あるいは、「売れないけれど、売れ残っては困るので、買って欲しい」というOFF・ON型になる。
ON・ON型のコミュニケーションに対して多くの消費者は引いてしまう。OFF・ON型のコミュニケーションでは、OFFの心理が相手に見抜かれてしまう。コミュニケーションの受け手である消費者2の心理と行動は、ON・OFFあるいはOFF・OFFとなることが多いだろう。あるいは、「良く分からないので、やめておく」という、ニュートラル・OFFになる。気にも止められないのであれば、完全にニュートラルということになる。
これに対して、まれに、ニュートラル・ONの反応を示す消費者がいる。この状況には大きく分けて3タイプある。ピンキーマウスの商品自体に素直に共感してTシャツを購入する人、消費者1の熱心なコミュニケーション形態に共感する人、消費者1の人物に共感する人である。商品、コミュニケーション、人物
(会社・店)のどれか一つでも最低基準を満たさない場合、ON型の行動にはつながらないが、個々の要素が最低基準を満たし、どれかの要素に強い共感を受けるような場合、消費者2の行動はONになるようである。
人物(会社・店)とコミュニケーションの形態を明確に区別することは困難であるが、これらに共感する人はいる。ON・ON型のコミュニケーションによって失敗した苦い経験を持つ、現在の成功者などである。
消費者1のON・ON型のコミュニケーションが、ニュートラル・ON型として消費者2に受け入れら始めると、徐々に消費者1の心理と行動も変化する。ON・ON型の消費者1のコミュニケーションがニュートラル・ON型に変化することがある。このような場合、ピンキーマウスのTシャツはある時急に人気を集めることがあるかも知れない。
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