消費者行動をON、OFF、ニュートラルという3つの状態と複数の消費者間におけるそれらの状態の相互作用について引き続き考えてみたい。
今回は少し視点を変えて、在庫処分取引とその消費者心理や行動について考えてみたい。
人気上昇を見込んで新キャラクター「ピンキーマウス」のTシャツを2万枚仕入れて販売したとしよう。しかし、売上は不振で2,000枚しか売れなかったとしよう。キャラクターの人気は完全に不調で、1年や2年では人気の上昇は見込めないとしたら、どうするだろうか?
Tシャツの在庫を定価の半額、あるいは、それ以下で販売して処分することになるのではないだろうか?
消費者行動のテーマからは少々外れるが、価格の下限を決めるのは変動費である。製品の製造原価であったり、商品の仕入れ原価が変動費の大きな割合を占めることになる。ちなみに、変動費とは製品を作る、仕入れる、販売するために数量に比例して増加する費用である。また、固定費とは、製品の製造、仕入れ、販売の数量に関係なくかかる事務所の家賃など固定的にかかる費用である。
ピンキーマウスのTシャツの仕入れ価格が一枚1,000円だったとしよう。一枚2,000円で販売していたとしても在庫処分価格は1,000円程度になってしまうかも知れない。倉庫に置いておいても毎月一枚当たり数十円の管理費がかかるとすれば、原価だけでも回収できれば良いということになる。
また、Tシャツの仕入れ自体が失敗だったと考えれば、売れ残った1.8万枚のTシャツに投資された1,800万円は「埋没費用」、つまり、回収不可能な費用となる。回収不能な費用は、文字通り回収不可能なので、それを販売価格に上乗せして回収しようとすると経営判断を誤りかねない。注意が必要である。
この場合、Tシャツの在庫処分セールをするための販売員の人件費や広告宣伝のための費用を無視すれば、月間数十円の在庫管理費だけが変動費となる。100円ででもTシャツが売れるのであれば財務的にはOKであり、仕方ないということになる。メーカーとの契約、販売の手間や費用、あるいは、店舗のイメージなどもあるので、別の業者に一枚数百円で買い取ってもらうこともあるだろう。
消費者行動というテーマから少々外れてしまったが、本題に戻って、このようなTシャツの取引きにおける販売者(消費者1)と購買者(消費者2)の行動を分析してみたい。 (次回に続く)
【V.スピリット No.62より】
V.スピリット総集編4
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