ゲーム理論: 競合他社の戦略に対する最適反応戦略 【1】

2008.05.26

仕事術

ゲーム理論: 競合他社の戦略に対する最適反応戦略 【1】

猪熊 篤史

ビジネスや日常生活において相手の立場を考えて行動することがよくある。そのようなゲーム的な状況について考えてみたい。

この例題を整理すると以下のようになる。

□プレイヤー: X社、Y社

□戦略: 「現状維持」、「値下げ」

利得はどうなるだろうか?この単純化されたモデルの中で、利得を決めるのはX社とY社の戦略の組合せに対する各社のユーザー数であろう。現実の世界では、様々な可能性が考えられるであろうが、ここでは限りなく単純化して、次のような考えたい。

□両社が価格を維持する場合: ユーザー数は不変 (各社4,000万人)

□1社が価格を維持して、他社が価格を引き下げる場合:
 価格を維持した企業のユーザーは400万人に激減。価格を引き下げた企業
 は3,600万人の他社ユーザーと新規ユーザー2,400万人を獲得して合計
 1億人のユーザーを持つことになる

□両社が価格を引き下げた場合: 各社1000万人の新規ユーザーを獲得して
 ユーザー数は5,000万人となる

この場合の利得(売上)は次のようになる。

□両社が価格を維持する場合: 
 ・両社の売上はともに、4,000億円 (±0%)

□1社が価格を維持して、他社が価格を引き下げる場合:
 ・価格を維持した企業の売上は、400億円 (-90%)
 ・価格を引き下げた企業の売上は、5,000億円 (+25%)

□両社が価格を引き下げた場合:
 ・両社の売上はともに、2,500億円 (-37.5%)

●図表

    【Y社】  維持        引き下げ       
【X社】
 維持    (4000、4000) (400、5000)
 引き下げ  (5000、 400) (2500、2500)

上記の図表は、X社とY社の戦略と利得の関係を表している。

・X社が価格を維持して、Y社も価格を維持した場合は両社の売上はともに
 4,000億円 (4000、4000)
・X社が価格を維持して、Y社が価格を引き下げた場合はX社の売上が
 400億円、Y社の売上が5,000億円 (400、5000)
・X社が価格を引下げて、Y社が価格を維持した場合は、X社の売上が
 5,000億円、Y社の売上が400億円 (5000、400)
・X社が価格を引き下げて、Y社も価格を引き下げた場合は売上は両社
 ともに2,500億円 (2500、2500)

もし、読者がX社の社長だとしたら、どの様な価格戦略を選ぶだろうか?

(次回に続く)

【V.スピリット No.27より】

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