不確実性に対処するためにオプションという概念が役立つ。オプション理論の基礎と経営への応用を紹介する。
リアル・オプションとは経営における選択権、事業における自由度を表す。このような経営における選択権、あるいは、事業における自由度が高い程、経営的な価値は高まる。不確実性が高ければ高い程その価値はさらに高まる。
オプションの取得には通常、金銭的なコストがかかるが、心がけ次第で、オプションの設定(購入・取得・保持)に大きなコストがかからないとすれば、オプションを持たない経営よりも、オプションを持った経営の方が柔軟性が高く、価値が高いことになる。
新世代DVD規格としてソニーや松下電器などのグループが提唱する「ブルーレイ・ディスク」と東芝やNECなどのグループが提唱する「HD DVD」の2つ規格があった。エンターテイメント業界大手のウォルト・ディズニーは、2004年12月の時点で、ブルーレイ・ディスクの規格に準拠した映画等のソフトを発売すると発表した。しかし、「将来におけるHD DVD規格ソフトの販売の可能性を排除しない」ともコメントしていた。
ビデオテープやゲーム機など、規格が市場における勝敗を決める重大な要素であることは広く認識されているものである。ディズニーの新世代DVD規格に関する戦略には「リアル・オプション」が組み込まれていたと考えられる。純粋にこの新世代DVD戦略だけを評価する場合、「ブルーレイ・ディスク」に100%賭ける戦略よりもその他の規格採用の可能性も残した戦略の方が価値が高かったと言える。
激しい標準規格争いや価格競争などによって不確実性が高まれば高まるほど、このようなオプションの価値は高まることになる。 (次号に続く)
【V.スピリット No.24より】
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