アルゴリズムに選ばれる社会 ――それは、人間を幸せにするのか

2026.08.25

組織・人材

アルゴリズムに選ばれる社会 ――それは、人間を幸せにするのか

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

ネットで商品を探すと、「あなたへのおすすめ」が現れる。 SNSを開けば、興味を持ちそうな投稿が次々と流れてくる。動画を一本見れば、似た動画が並ぶ。転職サイトでは、自分に合いそうな会社が推薦される。 私たちは、こうした世界をすでに当たり前のものとして生きている。 だが、この延長線上にどのような社会が待っているのか。

問題はAIではない。人間が問いを失うことである

アルゴリズムを否定する必要はない。

その恩恵は大きい。

商品を探す手間を減らし、医療や金融の判断を支援し、企業の生産性を高め、人間の思い込みを補正できる可能性もある。

だから問題は、

アルゴリズムを使うか、使わないかではない。

どこまで判断を委ねるのか。

誰が評価基準を決めるのか。

その基準を人間が知ることができるのか。

異議を申し立てられるのか。

そして何より、

その基準そのものを疑う自由を残しておけるのか。

という問題である。

アルゴリズム社会の最大の危険は、人間が支配されることではないのかもしれない。

支配されていることに気づかなくなること。

そしてさらに危ういのは、

アルゴリズムに評価される生き方を、「自分が望んだ人生」だと思うようになること

ではないだろうか。

便利さは、人類が長い時間をかけて手に入れてきた大切な価値である。

効率化も、最適化も必要である。

しかし、人間の人生まで最適化される必要があるのだろうか。

これから私たちに必要なのは、AIを使いこなす能力だけではない。

おすすめされたもの以外を見る力。

スコアだけで人を判断しない力。

多数派とは違う道を選ぶ力。

合理的ではなくても、大切なものを守る力。

そして、

「そもそも、私は何を大切にして生きたいのか」と、自分自身に問い続ける力である。

アルゴリズムがますます賢くなる社会だからこそ、人間には、これまで以上の知性が必要になる。

未来を決めるのは、アルゴリズムの性能だけではない。

人間が、自分の人生の判断をどこまで自分の手に残すことができるか。

その選択に、アルゴリズム社会の本当の未来がかかっている。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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