2026.08.04
リスキリングは、誰のための学びなのか ――「市場価値を高め続けなければ生き残れない社会」の、その先へ
齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
終身雇用の崩壊が語られるようになって久しい。 一つの会社に入り、決められた仕事を覚え、勤勉に働き続ければ、会社が生活と雇用を守ってくれる。少なくとも、多くの人が信じてきたこの前提は、すでに大きく揺らいでいる。 事業の寿命は短くなり、技術は急速に変化し、昨日まで必要とされた仕事が、明日も同じ価値を持つとは限らない。生成AIの普及によって、文章作成、情報整理、分析、翻訳、資料作成など、これまで一定の経験を必要としてきた仕事も急速に変わり始めている。
リスキリングは、誰のための学びなのか
――「市場価値を高め続けなければ生き残れない社会」の、その先へ
終身雇用の崩壊が語られるようになって久しい。
一つの会社に入り、決められた仕事を覚え、勤勉に働き続ければ、会社が生活と雇用を守ってくれる。少なくとも、多くの人が信じてきたこの前提は、すでに大きく揺らいでいる。
事業の寿命は短くなり、技術は急速に変化し、昨日まで必要とされた仕事が、明日も同じ価値を持つとは限らない。生成AIの普及によって、文章作成、情報整理、分析、翻訳、資料作成など、これまで一定の経験を必要としてきた仕事も急速に変わり始めている。
世界経済フォーラムは、2030年までに働く人に求められる中核的なスキルの約39%が変化すると予測している。日本でも、DXを推進する人材が不足していると回答した企業は85.1%に達している。企業が必要とする能力と、現在の人材が持つ能力との間に、大きな隔たりが生まれているのである。
こうした変化の中で注目されているのが、リスキリングだ。
デジタル、AI、データ分析、マーケティング、語学、マネジメント。新しい知識や技能を身につけ、自分の市場価値を高める。転職に備える。社内で新しい仕事を獲得する。環境が変わっても働き続けられる力を身につける。
国も企業も、リスキリングを推進している。厚生労働省は教育訓練給付制度や人材開発支援助成金を用意し、個人や企業による学び直しを支援している。オンラインで受講できる講座も増え、以前に比べれば、社会人が学ぶための選択肢は確実に広がった。
もちろん、これは重要な変化である。
しかし、私たちはここで、一度立ち止まって考える必要がある。
市場価値を高め続けなければ生き残れない社会は、本当に人を豊かにしているのだろうか。
「会社に依存する人生」から「市場に依存する人生」へ
終身雇用の時代には、個人が会社に依存していると批判された。
会社の看板、役職、社内評価、社内人脈。会社の外に出た瞬間、自分に何ができるのか分からない。そうした働き方から脱却し、自分のキャリアは自分でつくるべきだという考え方には、確かな意味がある。
だが、会社への依存から抜け出した結果、今度は「市場」に依存するようになってはいないだろうか。
どの資格が評価されるのか。
どのスキルの年収が高いのか。
どの業界が伸びるのか。
転職市場で自分はいくらになるのか。
AIに代替されない仕事は何か。
CHANGE
2026.06.05
2026.06.09
2026.06.30
2026.07.07
2026.07.21
2026.07.28
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
フォローして齋藤 秀樹の新着記事を受け取る