現代における教育や学習は、何を生み出しているのか

2026.07.21

組織・人材

現代における教育や学習は、何を生み出しているのか

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

企業は研修を増やし、学校はカリキュラムを改訂し、個人は資格やスキルの取得に励む。動画講座、オンライン大学、ビジネススクール、自己啓発書、生成AIを活用した学習サービスも次々と生まれている。 学ぶための環境は、かつてないほど整っている。 では、そこで一つの問いが浮かぶ。 現代における教育や学習は、実際に何を生み出しているのだろうか。

教育は大切だ。
学び続けることが必要だ。
リスキリングが重要だ。
AI時代には、学び直しが欠かせない。

いま、社会のあらゆる場所で、こうした言葉が語られている。

企業は研修を増やし、学校はカリキュラムを改訂し、個人は資格やスキルの取得に励む。動画講座、オンライン大学、ビジネススクール、自己啓発書、生成AIを活用した学習サービスも次々と生まれている。

学ぶための環境は、かつてないほど整っている。

では、そこで一つの問いが浮かぶ。

現代における教育や学習は、実際に何を生み出しているのだろうか。

知識だろうか。
資格だろうか。
能力だろうか。
年収だろうか。
生産性だろうか。

それらも、確かに教育の成果の一部である。

しかし、教育にこれほど多くの時間と費用が使われているにもかかわらず、職場では人間関係の問題が絶えず、組織への信頼は弱まり、若者は未来を描けず、管理職は疲弊し、社会全体には閉塞感が漂っている。

知識を得る人は増えた。
情報に触れる機会も増えた。
学習コンテンツも豊富になった。

それでも、より良い人間が増えているという実感は乏しい。
より良い組織が増えているとも言い切れない。
より良い社会に近づいているという確信も持ちにくい。

ここには、教育の根本に関わる問題がある。

教育が成果を生まない時代

成果至上主義の社会では、成果の低い活動は軽んじられる。

営業は売上を生む。
製造は製品を生む。
開発は技術を生む。
投資は利益を生む。

では、教育は何を生むのか。

研修を実施した。
講義を受けた。
資格を取得した。
レポートを提出した。
本を読んだ。

しかし、その後も判断は変わらない。
仕事の進め方も変わらない。
人との関わり方も変わらない。
組織の空気も変わらない。

この状態では、教育は成果を生む投資には見えない。

むしろ、時間と費用を使う消費に見える。

企業が教育費を削減する。
社員が学習を後回しにする。
管理職が研修を面倒だと感じる。
経営者が「まず売上だ」と考える。

それは、必ずしも学びを軽視しているからではない。

教育が、教育の外側にある成果へ接続されていないからである。

教育を受けた人間が、何を変えたのか。
その人の判断は、どのように変わったのか。
周囲との関係は、どう変化したのか。
仕事は、誰にどのような価値を生むようになったのか。

そこまで見えなければ、教育の価値は伝わらない。

教育そのものが目的になっている

本来、教育や学習は手段である。

より良い人間に成る。
より良い仕事をする。
より良い組織を創る。
より良い社会を次の世代へ残す。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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