これまで数々のピンチのときに、漫画の力に助けられたと語り、現在、日本のポップカルチャー・コンテンツを世界に広げるべく活躍中の保手濱彰人さん。著書『武器としての漫画思考』(PHP研究所)がベストセラーとなり、今後は漫画を活用した、人財育成にも注力すると語る保手濱彰人さんにお話しを伺いました。 聞き手:猪口真
猪口 「手っ取り早く、どの漫画を読めばいいでしょうか」といった質問はやはり愚問でしょうか。
保手濱 確かに、愚問かもしれません(笑)。それにあえて答えるとしたら、人間が何かに気づいたり成長したりするのは、感情が大きく揺れ動いたときなんです。記憶に残るから成長するわけであり、その記憶は、感情が動いた量と比例するんです。感動した、嬉しかった、楽しい、ムカつく、悲しかった、切なかった。ポジティブでもネガティブでも、どちらでもいい。ですから、何を読むかは人それぞれですですが、大事なのは、感情が動かされる漫画を読むこと。そして、なぜ感情が動いたかを意識して、そこから何を得るか。そういう意味では、この条件させ満たせるのであれば、作品は何でもいいと思っています。
猪口 同じ作品を読んでも、100ある要素のうちどこが刺さるかは人それぞれですよね。今回のプログラムは、感情が揺さぶられるような場面がたくさんピックアップされています。
保手濱 キューレーションしてまとめてみて、自分でもこれはすごいものになったなと思いました。物語を通じて、自分の感情や感性が揺さぶられる体験を大事にしていけば、そこから必ず何かを得ることができると思います。
猪口 今後、「漫画思考」をどのように発展させていきたいとお考えですか。
保手濱 僕は、漫画は世界を救うと思っています。今回「漫画思考」を定義したのも、すべての問題は漫画に置き換えれば解決できると思っているからです。人はなぜ悩んだり、課題に感じたりするのか。それは、その出来事に意味付けができていないからです。どうしてこの悩みが起こっているのか、そこから何が得られるかなどが分かれば、辛いことや大変なことも受け入れられます。「このための出来事なんだ」「こういう気づきを得るためのものなんだ」と、自分の人生を漫画のストーリーに置き換えて俯瞰して見ることができれば、そこで意味付けが生まれ、悩みは悩みではなくなっていきます。
悩みを解決するための心理療法に、ナラティブセラピーというやり方があります。たとえば、戦争経験がトラウマになっても、それを人生全体のストーリーの中に位置づけ、意味付けが腑に落ちれば、トラウマは解消されていく。それをもっと広いスケールで行っているのが「漫画思考」です。このような漫画の捉え方が世界中に広がれば、世界を救うことができると僕は本気で思っています。
猪口 その考え方は、保手濱さんの事業ともつながっているのでしょうか。
インサイトナウ編集長対談
2026.02.09
2026.02.24