生成AIの活用事例が想像以上に大きくなっている中、マーケティングや人材開発といった、ビジネスの現場においてはどのような広がりを見せているのか。 すでに生成AIを使ってビジネスアウトプットを出されている金森さん、富士さんに現場レベルでの生成AIの活用状況をお聞きしました。
マーケティングにおける生成AIの活用方法
猪口:では、マーケティングにおける生成AIとの事例についてお聞かせください。
金森:ネットで見つけた事例ですが、サントリーとリクルートが生成AIを積極的に活用して成功しているようです。サントリーは、AIが得意とする市場データとトレンドの反映、多様なクリエイティブ案の生成、迅速なA/Bテストで積極的に活用して、マーケティング施策を迅速に実行できるようになっています。
リクルートは、応募者データの分析、パーソナライズされたコンテンツ生成、コミュニケーションなど、採用関連のコンテンツ生成と最適化にAIを活用しています。これにより、従来のマスプロモーション型から応募者それぞれに寄り添った情報提供とコミュニケーションに変化し、応募率の向上と採用プロセスの効率化に成功しています。
猪口:AIを特別な役職や職種の人だけが使うのではなく、組織のあらゆる人が使う時代になってきますね。
金森:元々、今日ではマーケティングは専門職の特別なスキルではなく、全社員が基本スキルとして身に付けておくべきという認識が広まっています。その時に、全社員がマーケティングのフレームワークを身に付けていれば、組織の共通言語として活用できます。ただ、全社員の分析・立案のレベルを一定以上に揃えるのは実際にはなかなか困難です。そこで、生成AIが活躍します。
私が登壇している研修・セミナーでは、例えばAIを使った3C分析を学ぶことができます。そのプロセスは、まず3C分析のフレームワークで押えるべき8つの要素をしっかり押えます。
ざっくり言えば、下記の通りです。
- ①Customer(市場の定義と、その市場のマクロ的環境)
- ②Customer(その市場における顧客候補ニーズと属性の列挙)
- ③KBF(顧客候補の購買決定要因)
- ④Competitor(その市場における競合及び代替品の特定と、その動きの把握)
- ⑤ニーズギャップ(競合がすくい取れていない顧客のニーズ)
- ⑥Company(自社環境:強み・弱み)
- ⑦業界KSF(その市場における勝ちパターン)
- ⑧自社KSF(自社独自の勝機)
次に、上記8つのポイントを明確にする時の留意点を押えます。
つまり、上記がそのままプロンプトの一部になるわけです。
3C分析を知らない人でも、演習課題の設定(定性・定量情報)と、前述の8つのポイントと留意点をプロンプト化したものを生成AIに与えれば、かなり精緻な3C分析の結果や、市場機会・事業課題、戦略の方向性まで生成できます。
インサイトナウ編集長対談
2024.06.03