​21世紀の生き方:いまはその過渡期

画像: ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』から

2025.02.16

ライフ・ソーシャル

​21世紀の生き方:いまはその過渡期

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/21世紀も四分が過ぎた。もはや過去の経験が通用しない。ビジネスもライフスタイルも、新しいものに変えていく必要がある。だが、いまはまだ過渡期だ。あと二、三十年は、古い連中の古い権利や法律でがんじがらめで、新しいチャレンジができない。それまでは、せいぜい経済依存を落として、耐えるしかない。/

逆に、産業の異常な高次化で、古い生産手段は、いまやタダ以下の負債。耕作地なんか田舎にいくらでも余っている。いまはまだ、小作料をよこせ、みたいな、自分ではもう農業をやらないくせに利権だけはしっかり握っている生き残りがいるが、もうすぐそれも、複雑すぎる相続で所有者が錯綜し、だれもワリに合わず、管理の手間も費用もかけなくなって、そのうちそれをだれがどうしようと、だれも文句をつけなくなる。田畑だけでなく、森や島、廃坑廃線、そして廃墟廃屋。こんな「資源」が、かつて栄えたこの国には、全国にゴロゴロ眠っている。

ただ問題は、いまはまだ過渡期だ、ということ。21世紀の半ばまで、あと二、三十年は、古い連中の古い権利や法律でがんじがらめになっていて、なかなか新しいチャレンジができない。それまでは、せいぜい固定費を減らし、経済依存を落として、耐えるしかない。だが、その中でも、なにか生きる楽しみを探そう。わざわざ自分からカネをむしり取られるようなところに行かなくても、近所を散歩して景色を眺め、ちょっと人と立ち話をして、雨の日には部屋でひとり静かに古本を読んでいるだけでも、そこにも楽しいことはある。そんな貧しい毎日はイヤだ、と言うかもしれないが、ぼけたジジイやババアでもあるまいに、もういいかげん頭を切り替えろ。20世紀はとっくに終わったのだ。


純丘曜彰(すみおかてるあき)大阪芸術大学教授(哲学)/美術博士(東京藝術大学)、東京大学卒(インター&文学部哲学科)、元ドイツマインツ大学客員教授(メディア学)、元東海大学総合経営学部准教授、元テレビ朝日報道局ブレーン。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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