​不登校不出社は「ウェイ!」よりはまともかも

2024.04.07

ライフ・ソーシャル

​不登校不出社は「ウェイ!」よりはまともかも

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/日本中、不登校不出社だらけ。しかし、それは、何しに来ているのだかわからない「ウェイ!」に学校や会社が乗っ取られてしまったからではなかろうか。連中は、勉強しよう、仕事しよう、という人を、付き合いが悪い、などと言って排除して、みんなで一律で勉強しない、働かない。/

昨今、各地にフリースクールが創られ、文科省もこれを後押ししている。週末だけの支援事業も広がっている。不登校は、小中学校だけで十万。高校や大学、専門学校、その中退まで入れると、百万に近いかもしれない。いや、社会人でも、メンタルに出社できなくなってしまう人は、その数倍はいるだろう。つまり、数百万だ。

多くの場合、現代の不登校不出社は、行きたくない、という、たんなるワガママとは違う。行きたくても行かれない、実際に、熱はもちろん、下痢や嘔吐、めまいやアトピーなど、激烈な身体の不調、はてはパニック障害で、家から出ることもできない。その原因は、心的なストレスだ。では、なにがストレスなのか。学校や会社。一律に座って過ごすのがダメ、ということもあるが、イヤな先生や上司がいる、悪い学友や同僚がいる、という人間関係が負担になっていることも少なくない。

南方の某県では、勉強や仕事ができるやつを寄ってたかってバカにする、と言う。関西あたりでも、「スカしてる」なんていう言い方がある。ネットでも「高学歴は仕事ができない」なんていう嫉妬と偏見てんこ盛りの記事を書けば、一気にPVが跳ね上がる。そこらを歩いている学童から大学生、若い会社員からロートルまでにしても、いったい何が楽しくて喜々として学校や会社に通っているのやら。朝っぱらから練習だ、会議だ、で、放課後、仕事帰りは、カラオケに飲み会。彼らの大好きなのは、賑わい、と、盛り上がり、そして、興奮と熱狂、バカ騒ぎ。学校や会社は、その段取りの打ち合わせの場。そして、いや、人間関係を大切にするのが基本だよ、なんて、嘯く。

日本の学校や会社が結果が出ない、成果が上がらないのは、こういう「ウェイ!」な連中に、学校や会社が丸ごと乗っ取られてしまったからではなかろうか。そして、「ウェイ!」は、きちんと勉強しよう、仕事しよう、という人を、口うるさい、上に媚びている、付き合いが悪い、あいつ「自閉症」だぜ、いや「アスペルガー」だよ、はやりの「発達障害」だろ、などと後ろ指を刺して排除することで、自分たちの「村」の中からだれも足抜けをさせず、脆い人間関係をかろうじて保って、どうにか仲間意識を高めようとする。そして、赤信号、みんなで渡れば、を地で行くように、みんなで一律で勉強しない、働かない。

うちの子も先日、ちょっと応援に行ってきたが、フリースクールや週末支援のようすを聞くと、みんなただおとなしいだけで、とくだんに勉強が嫌いだというわけではない。これまでの経緯もあって苦手な分野があるにしても、意欲もあるし、将来のことも悩みながら考えている。進度が遅いとか、ストレスに弱いとかいうこともあるかもしれないが、何も考えずに激烈にはやし立てるだけの「ウェイ!」連中に取り囲まれたら、だれだってできることもできなくなるのは、むしろ当然だろう。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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