あれからの30年、これからの30年:破局への備え

画像: ライオンズクラブの紋章と炊き出し:二頭のライオンは、過去に学び、未来を拓く

2025.01.14

ライフ・ソーシャル

あれからの30年、これからの30年:破局への備え

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/家族だの、親戚だの、町内会だの、人と関わるのは面倒だ、と言って、おひとりさまで一丁前に生きている気になっているが、地域社会という「大地」を忘れ、思い上がっていれば、かならずそのとき、しっぺ返しがある。/

人はすぐ忘れる。あのとき、そして、あれから多くの人が去って、今まだ生きている人たちも、あの日の決意はどこへやら。今年もまた続けざまのバカ騒ぎだ。地球ほどのスケールで言えば、まだ昨日の今日くらいの話なのに。

あれが天罰だったなどと言う気はない。だが、あれまで日本は浮かれ過ぎていた。世界の頂点に立った気になって思い上がり、カネの力で好き勝手をやっていた。そして、あの日を境に、テロだの、霊界だの、ツボだの、いかれたカルト教団が跋扈し、経済の屋台骨の銀行や証券が破綻し、氷河期とか言って、若者たちの人生を圧殺してきた。それを政界も財界も、そしてマスコミも、ヤク売りポン引きのような広告代理店や芸能事務所とつるんで、まるでなにもなかったことのように強引にやり過ごし、そのツケが溜まりに溜まった状態。それがいまの日本だ。

大地に限らない。都市と地方、富裕層と貧困層、高齢者と少子化。あちこちの歪みは、これからの30年で確実に弾ける。きっとまた大きな天災が、その破局のきっかけになるだろう。だが、その日まで、ほとんどの人々は「地下」に目を向けようともしない。もちろん、表沙汰になる前から、知る人は知っている。気づいている人は気づいている。ただ、口にするのがはばかられるだけ。言えば、いかれた連中に袋だたきにされるだけ。言ったところで、もはやだれにもどうにもできないのだから、黙ってただその日を待つだけ。

なにもかもが崩れ、焼け果てたあの日、残ったのは、自分が生きてしまっている現実と、生き残った地域の人々だけだった。自販機があっても小銭も使えず、便器はあっても糞尿が溢れる。家族だの、親戚だの、町内会だの、人と関わるのは面倒だ、と言って、おひとりさまで一丁前に生きている気になり、政界だ、財界だ、芸能界だ、そのぶら下がりだ、と、仲間内でよろしくやっているが、地域社会という「大地」を忘れ、思い上がっていれば、かならずそのとき、しっぺ返しがある。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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