​観光立国の災害リスク

2025.01.18

ライフ・ソーシャル

​観光立国の災害リスク

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/外国人観光客だの、国内富裕層だのは、調子が良いときだけの「御大尽」で、被災地になったら、見向きもしてくれなくなる。いくらかつての馴染みだろうと、彼らが善意のボランティアとして駆けつけ、いっしょに手足を泥だらけにして復興を手伝ってくれる、などと期待できるわけもあるまい。/

一方、山村留学でも、産直定期便でも、ふるさと納税でも、目先のカネ勘定の損得ではなく、人と人との心の繋がりとして、ふだんからたがいの信頼関係を築いていてこそ、いざというときにも助け合うきずなになる。たとえば、私も、二十年来、かつて縁があった遠方の農業法人から米を送ってもらっているが、米に同封された現地の季節のようす、こちらが振込票に添える一言、そして、年に一回、農家の人たちと全国の購入者たちとの現地での交流会があって、たがいの家族の最近のようすまでわかりあっている。だからこそ、送っていただいている米も、米以上の味わいがある。

さて、観光立国だとか。後先を考えず、一般の国民を高額のぼったくりで追い払い、地元の住民にさえ迷惑をかけまくっているような「豪華」で「上質」の観光国が、いつまで魅力と人気を保てるのやら。そして、これから確実に待ち受けている大災害で、いったいどうなるのやら。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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