トランプ復権は東アジア危機を招く

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2024.07.24

経営・マネジメント

トランプ復権は東アジア危機を招く

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

米国大統領選でトランプ優位が公言されるようになっている。トランプ復権が日本にとってどういう意味を持つのか、今一度吟味すべき時だ。

とりわけ①の大統領就任直前・直後が中国にとって最も狙い目だ。

なぜなら②は、次が同じ共和党の大統領だったら併合参謀本部以下には大きな変更がなされず、大した混乱を引き起こせない可能性があるからだ。さらに習近平政権としては①なら3期目のうちに事を起こせるが、②だと既に4期目に入ってしまうのだ。そして③は、実際にその時機がトランプの4年の任期の間に訪れるかどうか分からない上に、国防長官以下の指揮系統は健在だからだ。

つまりトランプ復権のタイミングは中国・習近平政権の台湾武力侵攻・制圧作戦にとって千載一遇のチャンスなのだ。やるかやらないかではなく、やる前提で「いつ、どうやるか」だけに集中すれば答は明らかだ。

もし上記の懸念通り、中国がトランプ政権を好機と捉え、いずれかのタイミングで台湾制圧に果敢に挑み、台湾併合に成功したとしたら、その後には日本にとって恐怖のシナリオが待っている。

祖国統一に自信を深めた習近平政権が次に狙うのは間違いなく(日中両国が主権を主張している)尖閣諸島(=中国名・釣魚島など)だ。もちろん、台湾が制圧された時点で日本の自衛隊は最大級の警戒態勢に入り、尖閣諸島の周辺を固めるに違いない(残念ながら米海軍は直接には乗り出さないだろう)。

しかし中国の海空軍も大量の軍船と軍用機を動員して、覆いかぶさるように海上自衛隊に圧力をかけ続けるだろう。以前なら台湾~沖縄諸島~日本列島と続くラインが中国に対し「蓋をする」状態だったために困難だったはずの中国軍隊の矢継ぎ早のプッシュ入れ替え配置が、台湾が中国側に渡ることで随分と容易になってしまうのだ。

このにらみ合いが何年も続くに違いない。より近い台湾からの軍隊派遣が自由にできるようになった中国軍と、沖縄の米軍基地を「間借り」することになる自衛隊との対峙は、長い目で見れば前者優位に傾く。

このような持久戦に疲弊した日本側が一瞬でも隙を見せれば、再び電光石火のごとく中国軍は尖閣諸島周辺の海域を制圧するだろう。そして次は沖縄だという脅しをかけ続けてくることになる(*)。
* なお、実際に中国軍が沖縄に侵攻するとは小生は考えていない。そうなれば米国が本気で反撃して本格的な戦争になるので、中国は脅すだけで済ますはずだ。それでも尖閣諸島の奪還に日本が動くのを阻止するには十分だ。

こうなれば完全に日中両国は「準戦争状態」に突入する。当然、日本にとって中国という巨大マーケットは消滅するし、現地資産も諸権利も一挙に失う。国力に劣る日本が最大級の警戒態勢をいつまで続けられるのか、甚だ心許なくなってくる。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/     

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