【インサイトナウ編集長鼎談】個別のイノベーション成果に満足することなく、異分野間の融合によって新たなイノベーションを創出させる

2024.06.27

経営・マネジメント

【インサイトナウ編集長鼎談】個別のイノベーション成果に満足することなく、異分野間の融合によって新たなイノベーションを創出させる

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

DX人材の育成や検定シリーズ,「知のオリンピック」事業など、独自の活動を続け、イノベーション融合による新しい知の創出を目指す「一般社団法人イノベーション融合学会(https://www.ifsj.or.jp/)」の代表理事 西山 敏樹さん、理事の富士 翔大郎さんにお話しをうかがいました。(聞き手:猪口真)

今年の秋に「DX博士ちゃんチャレンジ2024」という小学生を対象としたDX検定を実施します。早い内からやるのがとにかく大事で、やるとハマる子が必ず出ます。DXにハマる人を作っていかないと、大学に入ってから勉強するのでは遅い。そういう固定層の興味を持つ人を伸ばすような戦略を日本全体でやらないといけません。大学で教えていてそう思います。そのために今回の企画が役に立つのではないかと思っています。基盤能力は楽しく学ぶべきです。その意味では、「DX博士ちゃんチャレンジ2024」は1回で終わるのではなく、継続的に実施することに意味があると思っています。

猪口 人材開発をしながらいわゆるイノベーションの芽を出して、企業にも出していただく。さらに会員同士のつながりによってまた違う融合見る。そこまで、狙いとして持っているわけですね。

西山 先ほど、ビジネスのチームが頑張ってDX検定を作ったという話がありましたが、学会にしてみてみると、アカデミズムだけでなくてビジネスの方が一定数活躍していることがポイントだと思っています。そのような環境ができてきたので、われわれのようなアカデミーサイドの人間が、これからそれをどう使って、どう教育環境を変えていくかに腐心していく必要があります。

経験や活動に基づく知を国際的に共有する場「知のオリンピック」

猪口 今、学会の中でプロジェクトとして取り組まれているものや芽が出そうなものをご紹介いただけますか。

西山 研究は個別に進んでいます。私の研究室では、買い物難民のために「電車をスーパーにする実験」をしています。地方では、電車の車内はなかなか人が埋まりません。一方、駅の近くに住んでいる人は昔からいて、街道沿いの大きなスーパーに行けません。単線の駅は電車の待ち合わせがあるので、その停めている30〜40分の間に買い物してもらうのです。これはまさにイノベーションの融合です。電車という完成されたひとつのイノベーションと、スーパーを車内に入れるという新しいイノベーションを融合させる。それにより鉄道会社が儲かる素地があって、買い物難民も防げます。

また、今はバスの本数が減ってきて、バスの営業所が空いています。バスの営業所を儲ける手段にできないか、地域住民に貸し出す可能性があるのかといった研究もしています。営業所にいろいろな人が来ることで、地域のコミュニティーの発信の場、融合の場になり、そこに行く時にもバスを使ってもらえるわけです。都市の中には廃商店街など空きスペースが多いので、それをうまく使う。鉄道や車庫といった空間を上手に使って、地域イノベーションができないか研究しています。

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