前回の「残念なDXからいかに抜け出すか DXにはマーケティングが欠落している?」(https://www.insightnow.jp/article/11890) 第1回は、日本企業のDXに存在する「残念なDX」現象をテーマに、顧客志向が弱いこと、そもそも成功なのか失敗なのか明確でないという話をしました。今回はDXの誤解と失敗の原因について、さらに一歩進んだ話をしたいと思います。
お相手:マーケティングコンサルタント金森努様×人材開発コンサルタント富士翔大郎様
連載:【インサイトナウ編集長鼎談】 残念なDXからいかに抜け出すか DXにはマーケティングが欠落している? - INSIGHT NOW!プロフェッショナル
前半:【インサイトナウ編集長鼎談】「残念なDX」第2回:DXの誤解と失敗の原因(1)
DXとデジタル化の違いとは?
富士 残念なDXとは、デジタル技術の導入だけではなく、それをビジネス価値に変換する戦略と文化的変革が伴わなければ、真のデジタルトランスフォーメーションは成し遂げられないことを示しています。
真のデジタルトランスフォーメーションということですが、先ほどのD Xの5段階の例でありましたが、まず「DX」と「デジタライズ」は異なる概念を指しています。DXは、企業や組織がデジタル技術を利用して、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化を根本的に変革することです。技術の導入だけでなく、それによってもたらされる組織全体の変化を指します。一方、デジタライズ(デジタル化)はアナログデータをデジタル形式に変換するプロセスで、例えば、音声や画像をデジタル信号に変換することです。一般にDXといってまずイメージするのは、このデジタル化のほうだと思います。
DXの目的は、効率性の向上、顧客体験の改善、新たなビジネスモデルの創出、そして競争力の強化にあります。DXの具体例として、まず「データ駆動の意思決定」が挙げられます。つまりデータドリブンで、ビッグデータと分析ツールを活用して、より情報に基づいた意思決定を行います。また、顧客データ、市場のトレンド、内部業務のデータなどを統合し、戦略的なビジネス決定に役立てます。ただしデータドリブンであればDXなのかというと微妙で、逆に、データ駆動をしていなくてもDXと呼べるものはたくさんあります。データ活用を本格的にやっていると先へ進めなくなるので、絶対必要とまでは言いませんが、DXやデジタル化自体はデータありきのものです。先ほどお話しした、戦略であげるべき項目の一つとして必要だと考えています。
次は、「クラウドコンピューティングの採用」です。オンプレミスのITインフラストラクチャからクラウドベースのサービスへ移行し、柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率を向上させます。これも同じで、オンプレでもDXは可能ですが、クラウドの良さである可変的に資源を使えるという発想があるからこそ、よりDXが加速します。
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残念なDX
2024.01.31
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2024.05.20