マーケティングコンサルタント金森努様と人材開発コンサルタント富士翔大郎様をお招きして、「残念なDX」についてお話を伺いました。
金森 もう一つの注目ポイントは、先ほどの定義が「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し」と始まっていることです。「マーケティングがわからない・難しい」という人の多くは、「マーケティングの流れ(体系)」が頭に入っていない、断片的にかじっているようなレベルです。マーケティングというと「4P」が有名で、そこから考えてしまうことが多いし、そこから始まっているマーケティングの本も多いですが、「マーケティングの流れ」で言えば、4Pは最後の「打ち手」です。
マーケティングの流れとは、「環境分析→戦略立案→施策立案(打ち手)」です。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応」するためには、世の中の、または自社の属する業界の、さらには自社の競争環境が明らかになっていて、「こうすれば勝ち残れるだろう」という戦略の方向性がわかっていなければ、闇雲に戦うだけになってしまいます。自社を取り巻く環境を明らかにして、戦略の方向性を導き出さなければいけません。「まずはこのシステムを入れよう」「まずはAIを導入しよう」というように、いきなり「打ち手」から入っているDXも散見されますが、それも「残業なDX」です。
猪口 今まで良かったことを消してしまう可能性もありますよね。お客さんはその会社の職人芸を欲しかったのに、なまじデジタル化、標準化したばかりにその良さがなくなってしまう。
富士 日本企業は技術からきている成功体験が多いので、サービス企業がこれだけ増えていても、欲しいものが何かという分析が甘いところがあります。かつての技術大国日本=マーケティング小国でもあり、海外の企業の経営者にいつの間にか、「もっとマーケティングを学びなさい」と指摘されているという話もあります。
経済産業省の「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」もわかりにくいと思いました。「2025年の崖」で、レガシーシステムからの脱却とDXの先の未来がどう関係するのか分かりにくくなっています。皆が何をし、何を目指したらいいかわからないまま、DXという言葉が独り歩きして、それをチャンスとばかりにコンサルティング会社がDXコンサルを始めています。我々が5年ほど経った今、提示したい処方箋は単純で、D Xであっても「今までやってきたビジネスをきちんとやればいい」と言いたいです、急にデジタルや技術に惑わされて、これまで積み上げてきたノウハウを忘れないでほしいのです。
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残念なDX
2024.01.31
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