自民党松川議員がフランス研修中に撮影したエッフェル塔前の記念撮影。相次ぐ増税やハイパーな物価などで苦しむ庶民から見れば、外務省など関係官僚の手厚いケア付で夏休みの高額料金シーズンに、恐らくファーストクラスで超高級ホテルという大名旅行に厳しい批判が集まりました。この事件、就活でESや面接回答に悩む学生の皆さんへの教訓になるのではないでしょうか。
・松川議員のミスと位置エネルギー
すでに散々指摘されていますが、もちろん松川議員の行動は何一つ正当化できず、さらには元アイドルの今井絵理子議員の擁護という燃料投下によって、さらなる炎上となりました。事の善し悪し、研修の成果の有無だけでなく、こうした情報の取扱いによってそもそも政治家としてのセンスも疑われています。さらに私はそこにリスク管理の視点欠如も挙げたいと思います。
出張などでも仕事だけをする訳ではなく。食事接待や宴席、業務後の観光地訪問などはまああることでしょう。でもそんなアソビは黙っているのもおとな会社人のエチケット。中には出張の度にそうしたアソビ話だけをペラペラ自慢する輩もいますが、だいたい仕事ができない人物としてバカにされます。
東大法卒・外務官僚出身の超エリートである松川議員は、そんなことすら想像が及ばないほど浮世離れした感覚であり、またそうした待遇で文字通りの「外遊」をしていることが白日にさらけ出されました。この時点で政治家センスがゼロ以下です。女性問題の現地での意見交換や研修に意味があったかどうか判断できませんが、それでもよりによってこの時期に行くというセンスも最低です。
増税と物価高にあえぐ庶民は海外旅行なんて夢のまた夢。何とかいけるにしても超ハイシーズンで繁忙期割増の、こんな夏休みど真ん中ではなく、閑散期を選んで行けるのがせいぜい。という、状況などもちろん知らないし、知るつもりもないし、関心が無いことでしょう。
防衛政務官も務めた安全保障専門家、庶民からうらやまれる立場ですが、それは一方でミスがあれば足を引っ張られるという自らの「位置エネルギー」を考えていないようです。自らが批判される高リスク者という自覚や危機感はなかったのでしょう。
・就活で「自分の強みはコミュニケーション力」と言ってしまう学生
ESや面接指導を長年やっていますが、就活を「正解を当てるテスト」と勘違いしている学生は高偏差値・上位校と呼ばれる大学・院にも多く見られます。就活は採用する企業にとってビジネスの一環であって、テストではありません。ビジネスである以上、広い意味での「雇うメリット」、多くは採用することで得られる利益への期待から内定になるのです。
自分で「コミュニケーションに自信がある」と答えるのは、単にハードルを上げるだけなのです。目指すゴールは「この人はコミュニケーション能力が高いと『思わせること』」であって、自分で申告しただけで納得するはずがありません。学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)や大学院生に研究内容説明を求めるのは、そのガクチカの中身、ネタ、研究内容の価値を検証するためではなく、その説明能力を見たいからです。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。