マイナカードに関連するトラブルが頻発している。その多くは、きちんと事前に検証しておけばこんな大事にならなかったのに、と思われる問題ばかりだ。
4)マイナポイントの誤付与
【不具合】マイナポイント制度において、誤って他人にポイントが付与された(173件)。
【原因】自治体のポイント申し込み窓口で登録する際、前の人がログインしたままの画面で申し込みをしたため、前の人のカードの情報と自分が登録する決済サービスが紐付いた。
5)マイナポータルでの他人の年金記録閲覧
【不具合】マイナポータルで他人の年金記録が閲覧できる。別人の情報と紐づけされているケースが、地方公務員らが加入する共済組合で1件確認されている。
【原因】人為的な入力ミスが原因とみられる。ご入力した個人情報が偶然別人と一致したためとされるが、詳細は不明。
これらの問題に対して政府は、調査や特定、個別対応と通知、システムの改善、情報公開と意識啓発などの対策を打つと報道されている。当然だろう。
確定申告の還付金の受取口座の登録がそもそも間違っていたケースはデジタル庁の責任ではない。そしてコンビニ交付サービスでの誤交付ケースは確かにシステム不備だが(これは改修済だそうだ)、それ以外の大半は人為的ミスによるものとして、河野大臣はそれらに関しては「システムそのものの問題ではない」と庇っていた。
しかしそもそも、こうした国民の多くがユーザーとなる手続きをシステム化するなら、そうした人為的ミスがあっても登録完了前に(エラーになるなど)気づきやすいようにシステム上の工夫をしておくのが当たり前なのに、それができていないのだから許されるものではない。
こうやって整理してみると、事前の検証にてカットオーバー(正式開始)までに徹底的に潰しておくべき問題が大半である。端的に言って、検証不足のままOKを出してしまった役所の大失態である。
小生はITコンサルタントではないが、事業の開発や立て直しのプロジェクトでは新たなシステム構築は今や必須なので、こうしたシステム開発を依頼したり依頼を支援したりすることがよくある。
そこで登場するのがB2B(対事業者)やB2E(対従業員)システムの場合、単体テスト~統合テストを経てカットオーバーを迎えるのがごく普通だ。加えるとしても精々、システム開発事業者にほぼ丸投げで開発した場合に、引き渡しの際に検収テストを行うくらいだ。
この際のテストというのはいずれもテストシナリオに則って粛々と行うものなので、人為的ミスを完全に洗い出すことは難しいことが経験上分かっている。その分、稼働後に多少の不具合が判明して、それに対処せざるを得ないことをある程度は織り込んでいる。それでもユーザーは身内や業務担当者など、「純粋な素人」ではない人たちなので、対処できるものだ。
社会インフラ・制度
2023.02.01
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
