日本の部活動における体罰・暴言・暴行が無くならないのはなぜか

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2023.04.26

ライフ・ソーシャル

日本の部活動における体罰・暴言・暴行が無くならないのはなぜか

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

いまだに全国で繰り返される高校の部活動における顧問や先輩による暴言・暴行事件。根源にあるのは指導者の低スキルに対する無自覚と、それを放任する学校幹部の低能である。

外部に大っぴらには見せないだろうが、部活動内部では繰り返されるのだ。「東京オリパラを機会に暴力根絶を」という若きアスリートたちの願いは未だに成就されていない訳だ。

なぜ暴力はなくならないのか。一般に指摘されるのは、指導者個人の資質と過度な勝利至上主義、各競技団体の体質といった辺りだ。

学校幹部から期待されているのが全国大会での「〇位以上」などといった表面上の成果ばかりであれば、どうしても目先の勝利という結果に走りがちになるのも想像できる。そうした状況にある指導者が、できない生徒やだらだらとした態度を見るとイライラしてしまう、という側面はあるだろう。

でも、だからといって体罰的な過酷な指導をしたり暴言を浴びせたりして自分に従わせようとするのは、そもそも「指導力がない」ということに他ならない。

この辺り、実はビジネスの現場における今どきの若手に対する指導と通じるところがある。そんな指導法でやっていた連中は、まともな企業ではパワハラで訴えられて管理職としては外されるようになってきた(そうしたやり方がいまだに是認されているブラック企業では別だが)。

話を戻すと、古い「根性主義」で指導された経験しかない古いタイプの指導者は、暴言・暴力による恐怖心や威圧によってしか生徒を「指導」できないという傾向が指摘される。しかしそもそも、こんなのは「指導」ではなく「支配」だ。それだけスキルが低いのである。そしてそのスキルの低さを自覚していないのだ。そんな指導者をアサインしたままにする学校幹部もまた低能で無責任だ。

この側面に関しては欧米の指導者は進んでいる。いかに生徒が自ら頑張るように、そして自ら考えるように、前向きな言葉を掛けるスキルを身に着けるための、指導者のための訓練が必要だという考え方が浸透している。

そうした指導スキルを身に着けた上でないと指導資格すら取れない。その上で他校に勝つための戦術や練習法を自ら考え(場合によっては生徒と一緒に考え)、生徒が自らより積極的に、工夫して練習に取り組むよう、モチベーションを維持向上させるための声掛けや相談に心を砕いている。

この辺り、日本のスポーツ指導者は是非、スポーツに熱心な米国の高校・大学での指導の様子を実際に視察に行くべきだ(小生は母校の一つであるテキサス大学でのスポーツ指導のレベルの高さに圧倒された記憶がある)。そして自らのスキル不足を認識した上で、それを向上させるためのスキル開発訓練を受けることから始めるべきなのだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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