/食えば、幸せ。よけいなことは考えずにいられる。食い物は、もっとも手軽で、合法的な現代の「麻薬」だ。だが、しばし食い物のことは忘れて、遠くを眺めて、思いを巡らしてみてはどうなのだろう。夕暮れ時、日の出前、日本の景色は美しい。店に飛び込み、朝食に食らいつく前、ちょっとこらえて外に出て空を見上げてごらん。忘れてしまっていた現実の自分がそこに立っているから。/
自己忘却。現実逃避。政治も、テレビも、ネットも、ようするに、どうもそういう今の世間の人たちが苦手だ。やたら血圧高く、流行の話題を振りかざして興奮するが、世の中、そうかんたんなものか。それ、食い物のせいじゃないのだろうか。
現実も、自分も、近すぎると見えない。目先、良かれと思ったことが、足元をすくう。しばし食い物のことは忘れて、遠くを眺めて、思いを巡らしてみてはどうなのだろう。人々が食い物に目の色を変えている時間、夕暮れ時、日の出前、日本の景色は美しい。店に飛び込み、朝食に食らいつく前、ちょっとこらえて外に出て空を見上げてごらん。ひごろ食い物に食われてしまって、忘れてしまっていた現実の自分がそこに立っているから。
哲学
2022.04.14
2022.06.23
2022.09.15
2022.11.02
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2023.03.24
2023.05.13
2023.05.28
2023.07.18
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。