阿武町の4,630万円誤送金問題では町の手続きミスや迂闊な対応、そして誤送金の事情を知りながらオンラインカジノに投じた容疑者の自分勝手さや未熟な使い込み判断を非難する声が多い。つまり「町の誤送金が『魔が差す』誘惑をもたらし、若者の人生を狂わせた」という同情じみた嘆息だ。しかし真相は、人々が考えていることとはかなり違うのではないか。
つまり思わぬ金が手元に転がり込んだことを知って、同行前に風呂に入っている間に「何とかネコババできないか」を考え、車での2時間の移動の間に「とりあえず今日はぎりぎりまで引っ張って誤魔化そう」と決断していたと推測できる。そして翌日以降に別口座にできる限り早く、できる限り多くの金額を移そうと考え、それを着実に実行したのだ(当然その間、町からの連絡を無視していたのだろう)。
常識的に考えて、こうした行動を示した相手に対し、返金して欲しい阿武町の担当者と責任者としては「何か怪しい」「すぐに返したくないと考えている節があるな」と危ぶんで、8日の時点で弁護士に対処を相談するだろう(弁護士が相談されていたら間違いなく翌日の時点で金融機関への仮差押え措置を執っている)。リスクを重視する人ならば、この時点で銀行と警察にも相談するだろう。でも実際には町は数日の間、何の有効な行動も起こしておらず、田口容疑者との間で押し問答を繰り返しているだけなのだ。
なぜ町はこんな重大なリスク事態なのに(阿武町にとって4,630万円というのはかなりの大金だ)、誰にも相談をしなかったのか。専門家に相談する手を思いつかなかったはずはなく、「住民男性を信用していた」という言い訳はあまりに嘘くさい。一番可能性が高いのは、町の関係者はこの誤送金ミスを表沙汰にしたくなくて、すぐには外部の誰にも相談できなかったということではないだろうか。
つまりこの事件で被害者づらをしている阿武町は、実は事態を隠蔽しようとしていたのではないか。そんな町の及び腰の姿勢を見て「こいつらはすぐには警察に届けないな」と見切った田口容疑者が時間稼ぎをする余裕を見出し、一生懸命悪知恵を働かしたというのが真実ではないだろうか。
決して、町は「本人の言葉を信じて」善意の待ち姿勢を続けていた訳ではないし、田口容疑者は「魔が差した」訳ではなく立派な「計画的犯行」だったのだ。
こう考えると、田口容疑者の主張する「オンラインカジノで使ってしまって残っていない」という説明も怪しいと、小生は一時期かなり疑っていた。
つまりオンラインカジノで擦ってしまったのは一部だけで、実はオンラインカジノの口座残高の大半はさらに別の口座に移して(つまりマネーロンダリングして)、ビットコインをはじめとする暗号資産などに資産形態を変えているのではないかと疑ったのだ。小生も今回の報道で知ったのだが、オンラインカジノの口座というものは入金先と出金先が別々でも構わないそうだ。絶好のマネーロンダリング向きの仕組みなのだ。
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
