3月の到来とともに一斉に各大学では合同企業説明会、いわゆる合説が開かれています。昨年から突如始まったコロナ渦。オンライン合説がスタンダードとなった元年の今年。求人企業はどう成果を得るべきか考えます。
私は学生に企業の見方、企業研究手法を指導していますが、その際の最も重要なソースが一次情報です。つまり企業自身が発する情報こそ、学生にとって重大な判断材料となります。その説明会がつまらない、中身の薄いもので大丈夫でしょうか。
特に私は長年国立大学など上位校の理系大学院生を指導してきました。理系学生が知るべき企業情報は文系と違い、技術や製品情報が欠かせません。最近は技術者出身・理系の人事担当者もずいぶん増えてきました。それでも自社製品や技術について語らず、経営理念やら福利厚生ばかりのつまらない説明会に陥っている企業はかなり見ています。
・オンライン合説の鉄則「言いたいことより、聞きたいこと」
創業者の話や経営理念など、外から見ればほとんどの企業はたいして差はありません。オンライン説明会は10分から長くて30分程度と限られています。限られた時間で企業が伝えたいことばかり話しては、学生は退屈します。
私は大学でオンライン授業に早くから取り組み、対面授業以上に成果を得ていると感じています。それにはオンラインならではのすすめ方があり、チャットやQAを活用してインタラクティブなコミュニケーションを絶えず意識することが欠かせません。テレビ出演時には秒単位で台本があり、進行があります。司会の方が台本をすっ飛ばしてアドリブ進行することもあります。
何よりオンラインでの話すスピードは、普段から早口の私くらいでちょうど良いくらいな早さが求められます。テレビ番組以上にネット番組は早口で進みます。聞きたい情報が出てこずにえんえんとどうでも良い話をされる説明は、その会社への意欲や関心を大きく失わせると考えられます。
さっさと学生の関心事に入り、学生の意欲を引っ張ることを、オンラインで実現するという目標を立てて下さい。
・学生が欲しがる情報
学生側も情報の取り方では混乱しています。学生が気にする「社風」とか「職場の雰囲気」「若い内からチャレンジ出来るか」など、実際にはどうでも良いことです。そもそも合説や採用で接する社員と実際に職場で一緒に働くことなどありませんから、社風など気にしても意味がありません。
職場や上司によって雰囲気など全く違うのが普通でしょう。若くしてチャレンジしたいというのは、苦労したくない、好きなことをやりたいという学生のある意味勝手な希望であり、仕事が出来ればそうした機会も得られるでしょうが、こればかりは働いて実績を上げなければ何とも言いようがありません。
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2021.10.11
2022.03.15
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。