かつて経団連ルールと言われた「3/1就活広報解禁」は、今、文科省ルールと名を変えましたが、就活学生にとっての最も大切な日であることに変わりありません。一方、すべての応募が上手く行く学生などほとんどいる訳ではなく、誰もが苦戦するのが就活です。今、何をもって自身の進め方を顧みるべきか考えます。
1.高偏差値大学は有利??
受験生の多くが憧れるいわゆる旧帝大に代表される高偏差値大学ですが、「良い大学に入れば人生安泰」かどうかは、言い切れません。私は東工大、東北大と高偏差値大学で教えてきました。自分の勤める大学以外でも全国で就活講演やキャリア、コミュニケーションなどの授業を通じて学生と交流しています。
確かに高偏差値の大学に、優秀だと思う学生は多くいます。また授業などで質疑応答を求めても、より偏差値の高い大学の方が積極的な参加や質疑を行う傾向が高いでしょう。
単に「有名大学・高偏差値大学だから有利」なのではなく、このような行動特性が評価された結果、高偏差値大学が就活においてお有利であるという事実はその通りだと思います。ただし!これは高偏差値大学=就活成功を約束するものではありません。
2.ESが通って当たり前のリスク
いわゆる高偏差値大学の学生の場合、就活におけるエントリーシート(ES)通過率は明らかに高いといえます。
ならば、やっぱり「高偏差値じゃないとダメ」なんでしょうか?
違います。就活はESテストではありません。ES通過すれば面接が、2回3回と待っています。文系ならば4回以上面接をする企業もあります。いくらESが通過しても、結局面接で落ちればそれで終了です。もちろん面接にすらたどり着けないより有利であることは認めます。
くり返しますが、就活はサドンデスです。最終面接まで進もうと、そこで選考が終わってしまえばゼロクリアです。むしろ高偏差値大学というだけの理由でESが通ってしまうと、その見きわめが難しくなるともいえるでしょう。
3.非「高偏差値大生」の戦略
自分の大学の偏差値が決して高くないという就活学生の皆さん。高偏差値大生と同じ就活戦略で成果が出るのは難しいでしょう。就活情報会社が学歴フィルターを使っていると批判を浴びた事件がありましたが、学歴フィルターがあるのを当然として戦略を立てない方が間違っていると思います。
単なる戦力比だけで勝敗は決まりません。少ない軍備でも局地戦に持ち込むなど、戦い方を磨くことで当然のことながら就活で目指す企業の内定を得る道はあります。もちろんどんな会社でも気合いと根性で何とかなるという意味では全くありません。
そもそもの会社選びの段階から、「大学生の就職人気ベスト100」みたいな企業を選ぶ時点で間違いです。いや、選んで良いのです。しかしそれは宝くじのようなもの。宝くじに当たる前提で生活をすれば破綻します。そうではなく、人気ランキングには登場せずとも一流企業、優秀企業はいくらでもあるのです。B2B企業をどれだけ応募しているかは、その人のビジネスセンスを見る上でも非常に有効です。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。