マーケットプレイス型の通販サイトには悪徳業者が跋扈している。彼らは「サクラ」レビューを大量生産するなど、悪知恵の宝庫だ。とはいえ粗悪品を避けるための方法も全くない訳ではない。ここではそのヒントを提示したい。
しかしこれが悪質な業者の思う壺なのだ。
第三者レビューを書いて稼ぐ日本人向けアルバイトがあり(昔は中国人が雇われていたが、すぐバレるので、今では現地人採用が主流となっている)、かなり大っぴらに募集されている。彼らは出品者に指示された通りの品を自費で購入し、高い評価をした上で、その品を転売する。そのうえで、その差額損分を補って余りあるレビュー報酬を受け取るのだ(こうしたやり方は中国の特定地区で開発・伝授され、今や洗練の域に達している)。
彼ら・雇われ日本人レビュワーは星(レビュー点)を付けるだけでなく、少し長めのコメントを書かないと満額の報酬はもらえないので、あたかも本当の消費者になった体できちんとコメントを書く。だから「サクラ」と「善意の第三者」のレビューを見分けるのは、実際のところ難しいのだ。ただし特定の傾向を持っていることは分かっている。
一つは「販売されて大して期間が経っていないのに大量のレビューが書かれている」「しかもレビューが短期間に集中している」というもの。いかにも人為的だ。
もう一つは「サクラ」のレビュワーは必ず星は満点の「5」を付けるように指示されている。「サクラ」を雇う出品者としては平均点を上げたいのだから当然だ。一方、低品質の製品であれば、実際に買った人の多くは怒りの低評価を付けているものだ。
だから粗悪品なのに「サクラ」レビューで無理やりに平均点を上げている場合、星の分布が5と1~2に極端に分離して、3~4がほとんどないという結果になりやすい。言い換えれば、異常値の「5」を除けば、1または2を中心とした正規分布が見られるのだ。
分かりやすい例を挙げたが、要は本来なら正規分布すべきところが不自然な分布になっている場合は、一旦怪しんだほうがよい。
しかし実は逆の場合もあるので、ややこしい。つまり高品質ゆえに本来高い評価をされている出品に対し、競争する事業者が営業妨害の意図で、極端に低い「やらせ」レビューをさせるケースもあるのだ。するとやはり不自然な分布になってしまう。とはいえこの場合は、極端に低い評価を除外すれば正規分布になるので、冷静に見極めて欲しい。
こうしたレビュー点の分布傾向をAIで分析して「サクラ」かどうかを判断するツールがあるので、使ってみるのも手だと思う(ちなみに小生はこのサイトの関係者ではないので細かい仕組みやアルゴリズムは知らないが、評判はよいようだ)。
その他
2014.01.08
2015.12.09
2017.08.30
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2024.07.24
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/