台風15号の被害に襲われた千葉県のトップ・森田健作知事は、週刊文春の記事について台風当日は「私的視察」をしたという説明記者会見を開きました。文春報道を否定した森田健作知事には、災害時のトップリーダーとしての資質に疑問の声が上がっています。
・オロオロ記者会見
絵にかいたような動揺ぶりを見せつつ「私的視察」だったことを説明する森田健作知事は、9月の定例会見と比べても声は上ずり、手は震え、水を飲みながら記者の質問に答えていました。あの豪雨の中、自ら運転して視察というのがそもそもものすごく無理がありそうな説明だと思うのですが、自らの政治スタイルであるという一点突破で記者の疑問を全否定していました。
会見について肯定的な意見は皆無で、視察ではなく自宅が心配で見に帰っていたのだろうとか、記録も取らず単に車窓からただ見て回ったという説明自体に無理があるといった、否定意見ばかりです。確かにあの大嵐の最中であれば県庁など対策本部などで情報収集した方がずっと効率的だろうと感じます。
ただ想像を絶する巨大台風であったこともあり、本来の知事の態度としては好ましくないものの、ここまで大きな被害が出ると予想は難しかったとは考えられます。それでも知事という役職の重さを考えれば、私的視察をしたという言い訳はあまりにも説得力がありません。
・東日本震災の菅元首相と同じ轍を避けたかった?
未曽有の災害ではトップリーダーの役割が重要です。東日本震災の時、当時首相だった菅直人氏が福島原発事故の陣頭指揮を取ろうとして、混乱を極める現場がさらに混乱したことがさまざまな検証で示されています。福島原発事故の混乱はさまざまな要因が絡みあい、不幸な偶然もあったことでしょう。
それでもやはりトップリーダーには責任があります。リーダーが対策現場をかき乱すことは危機対応において最悪です。森田知事は菅元首相と明言はしなかったものの、東日本震災時の失態にならないよう混乱する現場に近付かなかったと言いたいようでした。
菅元首相のような介入は論外としても、今回の台風で県知事自ら私的視察をするという行為はどうなのでしょう。組織のトップとして、危機対応の姿として、そのような政治スタイルは認められないと思います。今ここにある危機に対し、何が求められるかという答えが私的視察で得られると思ったのであれば、やはりタレントに首長は務まらないと言わざるを得ません。
・トランプ大統領が持つリーダーシップとは
政権発足以来、続々と有力閣僚が辞任したり、閣僚を解任したり、次々疑惑やスキャンダルが持ち上がるトランプ大統領。究極のポピュリズムともいえる、スケープゴートを攻撃することで自らの地位を固める政治手法は、昔からある社会の分断化による政権固め手法と感じます。
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2022.11.03
2009.02.10
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。